# ジェンダー

炎上繰り返すポスター、CM…「性的な女性表象」の何が問題なのか

フェミニズムから学べること
小宮 友根, ふくろ プロフィール

(3)性的なメタファー
「性的なメタファー」は、直接性的な行為を描いたり、特定の身体部位に焦点を当てたりするわけではないけれど、メタファーを用いて性的な行為や関係を表現するような描き方です。以前「炎上」した宮城県の観光CMでは、女優の壇蜜さんが亀の頭をなでる描写がありました。ビールやマヨネーズのCMで商品が精液のメタファーになっていると批判されたこともありました。他にも、棒状の物体をペニスのメタファーとして、それとともに女性が描かれることで、性的な行為を連想させるような表現もあります。

図3. 性的なメタファー

こうしたメタファーは、あからさまではない仕方で女性を性的な鑑賞のために用いているわけですが、あからさまではないがゆえに、性的ではない(あるいは性的である必要がない)状況においても「性的客体としての女性」という考えが前提とされているという理解を生むでしょう。特に女性当人は性的なメタファーに気づいていないかのように描かれるときには、女性の自律性、主観性を軽視して一方的に性的な鑑賞のために用いているという印象が強まります。

 

(4)意図しない/望まない性的接近のエロティック化
「一方的」という点でもっとも極端なのが「意図しない/望まない性的接近のエロティック化」です。女性にとっては性的な意図や願望があるはずのない状況を、あたかもエロティックであるかのように表現することです。上に挙げた「性的部位への焦点化」によってその状況が性的な鑑賞の対象となるよう描かれたり、女性が大して嫌がっていない(どころか快楽を感じている)かのように描かれたりするのがそれにあたります。

かつて「私作る人、ボク食べる人」というラーメンのCMに抗議した「行動する女たちの会」は、ウィスキーの広告に描かれた女性像が性暴力被害を想起させると抗議しました。また、マンガやアニメでは、意図しない性的接近が「ラッキースケベ」と呼ばれたり、女湯覗きから場合によっては性暴力まで望まない性的接近がエロティックなものとして描かれることがありますね。

図4. 意図しない/望まない性的接近のエロティック化

もちろん現実には、「意図しない/望まない性的接近」はそれを受ける女性にとってはエロティックであるどころか侮辱的で侵害的なものです。にもかかわらず、それをエロティックなものとして描くことは、女性の自律性、主観性を無視して性的な鑑賞のために用いているという理解を生むでしょう。