トランプ「香港人権法案」署名とアリババ上場の意外な関係性

香港の混乱は2020年も継続する
近藤 大介 プロフィール
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アリババの香港上場をどう見るか

だが私は、最も大きな「対抗措置」は、11月24日の民主派が大勝した香港区議会議員選挙の翌々日の26日、アリババグループ・ホールディング・リミテッド(以下、アリババ)を、香港証券取引所に上場させたことではないかと思っている。

389人の民主派候補が各選挙区で勝利の雄叫びを上げた2日後に、アリババの張勇(ダニエル・チャン)CEOが、香港証券取引所で喜びの声を上げた。

張CEOは、4大陸8ヵ国から招いた10人のアリババ・デジタルエコノミーの顧客やビジネス・パートナーと共に、取引所の開始を合図する銅鑼を鳴らした。彼らは、タオバオ(淘宝網)、天猫、天猫国際、Lazada、AliExpress、フリギー、アリペイ、アリババクラウド、ツァイニャオ(菜烏網路)などの関係者である。

張CEOは、満面の笑みを浮かべながら語った。

「まずはこの重要な節目のタイミングに、わが社のお客様に感謝したいと思います。これまで20年にわたって、未来に向けた探求、継続的なイノベーションに私たちと共に取り組み、試行錯誤も共に重ねてきました。

アリババグループを支えてくれているすべてのお客様に感謝申し上げます。そして本日、世界4大陸8ヵ国からの10人のお客様代表を迎え、新たな旅をスタートさせる上場セレモニーで、共に上場の銅鑼を鳴らせたことを嬉しく思います。

香港及び香港証券取引所にも感謝申し上げます。われわれは5年前、『条件が許せば必ず香港に帰ってきます』とお話しました。過去数年にわたる香港のイノベーション及び資本市場の改革によって、5年前に逃した上場を、本日ついに実現することができました。

もちろん、私たちが暮らすこの時代にも感謝しなければなりません。インターネットやデジタルエコノミーの発展により、アリババグループが創業当初掲げた『あらゆるビジネスを広げる力になる』というミッションを実現させる機会を得ました。われわれはテクノロジーを活用して、お客様やビジネス・パートナーを支援し、共にデジタルエコノミー時代を歩んでいきたいと考えています」

 

アリババは、中国最大の民営企業である。株式時価総額で世界7位(2019年10月現在)につけている。日本最高位である40位のトヨタ自動車の約2.3倍だ。

アリババは11月11日、「ダブルイレブン」(日本では「お一人様の日」と誤訳されている)の消費者イベントを開催し、この日の24時間で、前年比26%増の2684億元(約4兆1800億円)も売り上げた。この額は、日本最大のECサイトである楽天の昨年の総取引額3兆4310億円の1.2倍強である。

ちなみにこのイベントには、78ヵ国・地域から2万2000ブランドも参加した。その中で、中国を除く国・地域別ランキングで、トップに立ったのが日本のブランドだった。以下、アメリカ、韓国、オーストラリア、ドイツの順である。アメリカは、あれだけ中国とケンカしておきながら、ちゃっかり2位をキープしているのである。

2万2000種類の外国ブランドの売り上げベストテンに、日本企業は3社入っている。トップのヤーマン、3位の花王、7位のユニ・チャームである。

ヤーマンは東京都江東区に本社を置く美容機器メーカーで、従業員数は241人(今年4月現在)、年間売上高は272億5200万円(2019年4月連結実績)となっている(同社HPより)。アリババは売上金額を公表していないが、ヤーマンはこの日だけで、自社の年間総売上の半分くらいを稼いでしまった可能性がある。日本企業もアリババの「ご利益」にあやかっているのである。