トランプ「香港人権法案」署名とアリババ上場の意外な関係性

香港の混乱は2020年も継続する
近藤 大介 プロフィール

「不作為」による混乱

トランプ大統領は周知のように、自分の考えはツイッターではっきりと(時に読みたくなくなるほどしつこく)、発表するタチなので、私はどう釈明するかに注目していた。

この日、トランプ大統領は8回、ツイッターを更新していた。私はこの3年近くフォロアーをしているが、ごく平均的な回数だ。

トランプ大統領にとって、この日のメインニュースは、大統領に就任早々、安倍晋三首相や習近平主席を招いたこともある別荘「マー・ア・ラゴ」があるフロリダ州に飛んで、大観衆の前で、来年の大統領選に向けた「熱狂的な演説」を行ったというものだった。よほど興奮していたと見えて、下のような品のない合成写真まで、自らアップしている(いまさらながらだが、こんな稚拙な老人がアメリカの大統領をやっているのだ)。

このフロリダ演説関連のものが4本、他の大統領選関連が2本、ウクライナ疑惑関連が1本、そしてニューヨークのダウ平均株価が再度、史上最高値を更新したことに対する祝福メッセージが1本である。つまり、香港人権民主主義法については、一言も言及していないのだ。

トランプ大統領の場合、過去3年近いツイッターのフォロー分析に基づけば、ノーコメントを貫いている時は、単に興味関心がない場合がほとんどである。東アジア全体が、「どうなるのだ?」とその挙手を注目していたというのに、当の本人はまるで無関心。これが現実なのだ。

 

こうした現象は、トランプ時代以前にもなかったとは言わないが、トランプ時代になって特に甚だしくなった。そして今回のことは、いまの東アジア地域の「悲劇」を象徴していると言える。

つまり、トランプ大統領の「不作為」による東アジア地域の混乱だ。トランプ大統領が知らぬところで東アジア情勢が混乱していく「恐さ」と言い換えてもよい。

こうなってくると、東アジアの「弱い部分」で、まず亀裂が起こってくる。一つは北朝鮮であり、もう一つが香港というわけだ。いまの日韓関係の混乱も、アメリカにしっかりした大統領がいたなら、ここまでこじれることはなかったはずだ。父親が健全であれば、激しい兄弟ゲンカは起こらないというものだ。