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トランプ「香港人権法案」署名とアリババ上場の意外な関係性

香港の混乱は2020年も継続する

トランプが署名した

12月2日、中国外交部のコワモテの女傑、華春瑩報道局長が、内外の記者団を前に吠えた。

「最近、アメリカは中国の強い反対をも顧みず、勝手にいわゆる『香港人権民主主義法案』に署名し成立させた。これは国際法と国際関係の基本準則に著しく違反し、中国の内政に著しく干渉し、中国はすでに明確な態度を表明した。アメリカの無慈悲な行為に対応するため、中国政府は即日、一定期間、アメリカ軍の香港駐留の申請をストップさせる決定をした。

同時に、全米民主主義基金、アメリカ国際事務民主協会、アメリカ国際協和研究所、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、フリーダム・ハウスなど、香港の風紀を乱す劣悪なNGOに制裁をかける。中国はアメリカが誤りを糾すことを促す。いかなる香港の業務に手を差しはさむことや、中国への内政への言行の干渉を停止することを促す。

中国は今後、状況の推移に応じて、必要な行動をさらに取っていく。香港の安定と繁栄を決然と死守し、国家の主権、安全、発展する利益を決然と死守していく」

これは、アメリカ時間の11月27日、ついにドナルド・トランプ大統領が、香港人権民主主義法案に署名し、成立したことに抗議したものだった。

この法律については、先週のこのコラムで詳述したので重複は避けるが、一言で言えばアメリカ政府による「香港監視法」だ。国務省が毎年、香港の「一国二制度」が維持されているかといった状況を大統領に報告し、大統領が連邦議会に報告する。そして「一国二制度」が守られていなければ罰則を課すというものだ。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68688?page=5

10月15日に下院が、11月19日に上院が、それぞれほぼ全会一致で可決。あとは、10日以内の採択が求められたトランプ大統領が署名するかどうかを、アジアの人々は注視していた。

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トランプ大統領がもし署名したら、中国の反発は必至である。トランプ大統領としては、12月15日に迫った米中貿易戦争の第4弾、すなわちスマートフォンなど1560億ドル分の中国からの輸入品に15%の追加関税をかける措置の前に、中国と貿易問題で妥結しておきたい。妥結すれば、500億ドル規模のアメリカ産農産物などを中国が「お買い上げ」してくれるからだ。

 

だが、もし香港人権民主主義法案に署名したら、中国との貿易面での合意は、ご破算となる確率が高まる。そのため、拒否権を発動するのではという観測が、一部ではあるが流れていた。

その一方で、もし拒否権を発動したら、連邦議会を敵に回すことになるから、現在進行中の「インピーチメント」(=弾劾、最近はCNNの1時間のニュースで100回くらい聞く単語)で不利になるリスクがある。何せ下院は、クリスマス休暇までに採決が行われ、通ってしまいそうな雰囲気だからだ。

年明けに審議が始まる上院も、「身内」である共和党から20人離反すれば、トランプ大統領は即座に、ホワイトハウスから退場となる。そのため、トランプ大統領はやはり署名を敢行するだろうという見方には説得力があった。

かくしてトランプ大統領は、11月27日にあっさり署名してしまった。