公開から1ヶ月が経った頃、私は、しばらく連絡を取っていなかった友人から飲み会に誘われた。聞けば、友人の友人、そのまた友人たちが20人以上参加するそうだ。私はアルコールが苦手だし、知らない人とご飯を食べるのはもっと苦手なので断ろうとしたら、友人から「みんな、記事を読んで奈美ちゃんに会いたいって言ってるの! お願いだから来て!」と言われた。

戸惑いはしたが、悪い気はしなかった。そんなに私が書くものを好きになってくれたなら会話も続くだろうし、挨拶くらいはしようか、と思ったのだ。

突然の「おっぱい」に固まった

飲み会、当日。参加者は男女が半々で、なんだか合コンのような雰囲気も漂っていた。合コンに出席したことがない私は、ちょっとだけ浮き足立った。

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思い思いに自己紹介し、みんなが酔いはじめた頃。私は不意に、正面に座っていた男性から声をかけられた。

「あのさあ、おっぱいの記事書いた人だよね? あれ面白かった!」

私は、ブラジャーの機能性と店員さんのフィッティング技術の高さを目一杯書いたものの、記事ではセクシーな表現も、下ネタも、極力入れないようにしていた。だから「おっぱい」という表現が少しだけ引っかかったが、面白かったと言ってもらって、目くじらを立てることもないかと思い、素直にお礼を言った。

「どれくらいおっぱい大きくなったの? Fカップくらい?」

言っておくと、私は普段、下ネタを平気で口にする方だ。おっぱい、という言葉も、なにかの冗談で使ったことがある。セクハラを受けたことも初めてではない。学生時代に、アルバイト先の飲食店で酔っ払ったおじさんに触られた時は、心では嫌だなと思いつつも、軽くあしらっていた。

しかし、なぜだかこの時ばかりは、私は固まってしまった。