東芝「東証1部復帰」工作にチラつく経産省の驕りと安倍政権の意向

あれだけの不正があったのに、もう…?
鏑木 邁 プロフィール

〈例えばガバナンスが重要だというご意見を本日の議論でもいただいていまして、事務局としてもそうしたご意見を踏まえるべきと考えておりますが、抽象的にガバナンスが大事だといっても、具体論に落とし込むとなると、本日の議論のように多数の案や難しい論点も多々ある中、これから取りまとめる事務局としては身が引き締まる思いでおります。

そうした中で、本日の経済産業省の資料の最後に、早急に対応すべき事項として幾つかの論点が記載されています。例えば、(中略)有価証券報告書の財務諸表の適正性に関する対象期間について、5期間と2期間を2期間へ共通化するといった、現在の市場構造を前提にしたうえで、早急に対応できることも幾つかあると考えております〉

つまりは、経産省の提案する「5年から2年」という緩和策について、財務省も「早急に対応すべき」と認めたのである。

 

思惑がミエミエ

しかし、この緩和案に正当性はあるのだろうか?大手証券ストラテジストはこう解説する。

「そもそも、2部から1部への移行に5年かかるのは、2部市場ができた1961年当時、財務情報の虚偽記載などが相次いだため、慎重に精査しないといけないとの理由から生まれたもの。今回の金融庁の上場基準厳格化という大方針からいえば、すでに5年と厳しい基準となっているものを、わざわざ2年に縮める必要がないのです。

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経産省は、『東証マザーズ市場などの新興企業市場から1部へ昇格する際には2年となっているので、それと統一する』と一見もっともらしいことを言っていますが、上場区分再編の議論が進んでいる最中に切りだしてくるところが不自然です。

どさくさに紛れて、東芝を1部に復活させてメンツを誇りたいという『省益』がミエミエ。このまま厳格化が進んで、東芝が2部から抜け出せなくなる事態はなんとしても避けたいのでしょう」