東芝「東証1部復帰」工作にチラつく経産省の驕りと安倍政権の意向

あれだけの不正があったのに、もう…?
鏑木 邁 プロフィール

経産省の提案に財務省も「異議なし」

東証の現行ルールでは、2部から1部に復活するには、監査法人の適正意見がついた有価証券報告書(有報)が5年分必要となる。

それを今回、2年分に短縮する緩和案が出された。実現すれば、東芝はすでに2018年3月期、19年3月期の有報については監査法人から適正意見を受けているため、すぐに1部への移行を申請できることになり、審査に通れば復帰できることになる。

 

移行基準緩和の議論が出たのは、今年10月23日に行われた金融庁の金融審議会「市場構造専門グループ第4回」でのことだ。

この審議会の焦点は、全市場の約6割の企業が集中しながら、日本の「最上位市場」となっている「東証1部市場」のあり方。金融庁は、これまでよりも上場基準を厳格化し、1部市場を「プライム市場」(仮称)としてより厳しい企業統治(ガバナンス)を求める方向で議論を進めてきた。

有報提出義務の緩和は、この方針に逆行していることになる。

しかし、この金融審議会では、所管でもない経済産業省の産業資金課長がオブザーバーとして参加し、以下のように提案した。審議会の議事録から引用する。

〈各市場の他市場からの移行も含めて、差異がいろいろありますが、そういった差異は見直し、合理化すべきではないかというふうにして考えてございます。そうやって根本的に大きく考える部分と、早急に対応すべきことというのはしっかり分けて、早急に対応すべき事項というのはしっかり早急に対応すべきと思ってございます。

(中略)例えば、有価証券報告書の財務諸表の適正性に関する対象期間についても、一部上場や一部指定化によって期間に差異がある場合も見直すべきではないかと考えてございます〉

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これに対し、財務省所管の金融庁の市場課長は、普段なら非常にプライドの高い「最強官庁」らしからぬ対応を見せた。