「楽天の映画」が誕生…2020年、日本の映画業界に生まれる新潮流

その狙いと勝算は如何に

提供:楽天株式会社

楽天が映画事業に本格参入した。米国を拠点に映画配給を手掛けるThe H Collective社と楽天の二社で、映画の製作および映画のIPマネジメントを行う「Rakuten H Collective Studio株式会社」を設立。また、二社で共同製作した映画などを日本で配給する「Rakuten Distribution株式会社」を設立した。

すでに同社は映画『ブライトバーン/恐怖の拡散者』を、配給パートナーである東宝東和と共同配給している。なぜ今、映画事業に参入するのか? その背景とともに、サッカーやNBAなど、スポーツ界で積極的な展開を広げている楽天が見据える「総合型エンターテインメント」の未来について取材した。
(C)The H Collective

コンテンツを内製、中国台頭の波が来ている

今年(2019年)の国内映画興行収入が過去最高になる見通しであることが、先日報道された。当たれば大ヒットとなるものの、昨今は若者を中心に映画館離れが叫ばれる映画業界に、楽天が新規参入した。

なぜ「映画」だったのか。メディア&スポーツカンパニー コンテンツビジネス事業ストラテジー課のシニアマネージャー・岩田訓明氏は、楽天エコシステム(経済圏)をさらに進化せることができるのが、映画をはじめとするコンテンツであると明かす。

岩田:楽天は、Eコマース、フィンテック、通信など70以上のサービスを提供しています。これらを有機的に結びつけて形成する「楽天エコシステム」において、ユーザーのサービス体験をより豊かにするのがコンテンツであると考え、検討を続けました。5G時代を目前に控え、すでにNetflixなどは年間数千億~1兆円規模でオリジナルコンテンツの製作を進めています。今年からディズニーも動画配信サービス「Disney+」を始めるなど、コンテンツ配信プラットフォームの内製化が進んでいるのです。

こうした状況下で、もしわれわれがコンテンツを調達して配信するだけという選択をすれば、これまで以上に調達コストがかかり、結果的にユーザーに跳ね返ってしまうというシナリオが想定されました。そのため、われわれもハリウッドの中に飛び込んで、コンテンツを内製できるポジションを築くことが非常に重要だと考えたのです。

メディア&スポーツカンパニー コンテンツビジネス事業 ストラテジー課のシニアマネージャー・岩田訓明氏

そこで楽天が組んだのが、新興ハリウッドスタジオのThe H Collective社だった。2017年に設立されたこの会社は、ロサンゼルスに複数のオフィスを構え、国際的な映画のフィルムファイナンス、プロダクション、マーケティングを手掛ける。数ある映画スタジオのうち、The H Collective社を選んだ理由は何だったのか。鍵は「中国」にあった。

岩田:今年から来年にかけては映画業界が大きく変わる年になると言われています。世界の映画興行収入において、中国がアメリカを抜き、1位になると予測されているんですね。中国の映画興行収入は、7、8年前は日本と同程度で2000億円くらいでした。今やその5倍、1兆円程度になり、アメリカに追いつき、来年には追い越してしまう。この中国で失敗しないことが、映画製作における負けない戦い方として決定的に重要なのです。

そんな中で、The H Collective社のオーナーであるケネス氏は、過去にも某ハリウッドスタジオが製作する映画の主要出資者として、中国での映画配給・マーケティングで数々の成功を収めてきました。それだけでなく、ハリウッドの一線級のスタッフを擁してもいます。また、The H Collective社は、中国で阿里巴巴集団が成功させたエコシステムのモデルを目の当たりにし、楽天のエコシステムへの理解があった。こうしたことが理由になり、The H Collective社とパートナーを組むに至りました。