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東北電力・女川原発、安全審査「合格」で早期再稼働は可能なのか

新たな課題も見えてきた
町田 徹 プロフィール

繰り返すが、会社の対応の違いが、人類史上最悪の原子力事故と、周辺住民の避難所という決定的な違いの分かれ目になったというのが、筆者の見解だ。クルマだって運転する人によって、便利な道具にもなれば、凶器にもなる。原発にも似たようなところがある、と筆者は考えざるを得ないのだ。

補足すれば、東日本大震災後の両社の対応も対照的だ。東電が震災直後から、いきなり計画停電を繰り返して、首都圏の経済やくらしに大きな混乱を招いたことを覚えている読者は少なくないはずだ。

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また、東電は自ら負担しきれない損害賠償責任を背負い、国有化されて、救済された。何兆円も公的資金を借り入れているにもかかわらず、折からの電力自由化を好機と捉えて、そうした資金をテコにした値下げを武器に、他の電力会社の本拠地である関東以外の全国各地に攻め込んでいる。

一方、東北電力は、コストを度外視して瞬く間に停電を解消し、安定供給に努めた。震災後の最初と2度目の夏の電力需要のピークを乗り切るために、突貫工事で廃棄が決まっていた火力発電所や壊滅的被害を受けた発電所を修理・復旧した。新設した方がコストは大幅に安いが、環境規制などの許認可を得るのに数年単位の時間が必要で、電力不足を招くのが明らかだったためだ。

こうした経営判断の背景には、東北地方の復興に電力が欠かせないという使命感があったという。東日本大震災で最大の被害を受けたのに、震災から2年以上、大手電力としては最後まで値上げをしなかった電力会社でもある。

 

それでも予断許さぬ状況が続く

だが、そうした対策の結果、東北電力は火力の中でも石炭火力への依存度が一段と高い電力会社になった。昨今は、石炭火力発電はCO2の排出量が最も多いことから批判の的である。

地球温暖化対策として不可欠なCO2の排出削減を進めるためにも、そして再生可能エネルギーの比率を高めるための投資資金を捻出するためにも、電気の供給コストを下げて安定的に廉価な電気を送り続けるためにも、運転コストが安くてCO2を出さない原発を最も必要としている電力会社のひとつが東北電力なのである。