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東北電力・女川原発、安全審査「合格」で早期再稼働は可能なのか

新たな課題も見えてきた
町田 徹 プロフィール

はっきり言おう。ベテランの経済記者の中にも、電力会社と言えば、傲慢で原発の安全対策に熱心なわけがないといった思い込みに捉われている人がいるのは事実だ。

前述の書籍の取材をしていた時期に、仲間の記者から「最近は何を取材しているのか」と聞かれて、「東北電力と原発問題を取材している」と答えた途端、以前から東京電力のマスコミ対応が傲慢だったことなどを根拠に、「業界トップがあの調子では、それ以下の電力会社は推して知るべしだ。傲慢だろうし、原発の安全対策も杜撰に違いない。取材する意味があるとは思えない」と言われて、ショックを受けた経験がある。

この記者は筆者と同世代で、企業取材のベテランだ。彼が言うように、同じ業界に属する企業は、企業カルチャーが似ていることが多いのも事実である。

 

東電と東北電力の明白な違い

しかし、取材してみると、電力業界は、多くの企業が入り乱れて競争を繰り広げている一般的な業界とは明らかに違う面もあった。それは、首都圏を本拠とする東電が、他の電力会社と比べものにならない巨大さを誇り、業界団体さえをも牛耳っていたということに尽きる。

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電力会社に固有の地域独占をかつて首都圏で許されていたことの優位性は明らかで、電力会社の中で群を抜く政治力を持ち、監督官庁を見下し、顧客を顧客と思わぬ振る舞いをすることも珍しくなかったのだ。筆者は早くから、東電とその他の電力会社の違いを丁寧に報じようと心掛けてきた。

思い起こせば、原発の安全性における違いを最初に意識して、女川原発を取材したいと感じたのは、東日本大震災のほんの数日後、福島第一原発で水素爆発が起きて不気味な煙が立ち上っていた頃のことだ。

経済産業省ではない経済官庁のある幹部から電話があり、「同じ原発でも、女川は福島第一とまったく状況が違う。非常用電源を失うことなく、安全が守られ、関連施設のボヤ程度ですんだらしい」という情報が寄せられていた。