松本人志の「薬物厳罰化」発言が何から何まで間違っている理由

薬物問題とメディア、その内容を検証
原田 隆之 プロフィール

松本人志「厳罰化」論

まずは松本人志さんである。松本さんは、沢尻エリカさんの逮捕を受け、「もっとみんなに議論してほしいのは、法をもう少し厳しくしてほしい」とテレビ番組で主張した。

そして、「たぶん初犯で執行猶予じゃないですか」「法をもっと厳しくして、初犯だろうが(懲役)2、3年って決めないと減っていかないですよ」「罪を重くすれば確実に減るし」と自説を開陳した。さらに、言を継いで「これを言っているのは意外と僕だけ」と述べた。

何から何まで間違っている。

まず、彼はニュースを見ていないのか、新聞を読まないのか知らないが、この種の事件が起きるたびに、判で押したように「厳罰化論」が出てくる。うんざりするほど繰り返されているこの議論に対して、平気で「これを言っているのは意外と僕だけ」と言ってしまえることに呆れてしまう。

そして肝心の厳罰化論であるが、厳罰化をするとなぜ確実に薬物事犯が減るのか、その根拠は単に彼の思い込みだけである。憶測、主観、印象などで意見を述べることは、最も間違いにつながりやすいし、無責任このうえない。

 

厳罰化論への反論

まず、そもそもの大前提として、薬物事犯の件数は増えているわけではない。減少傾向または横ばいであるという事実をまったく無視している(図-1)。

図-1 薬物検挙人員の推移( 出 典 : 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000- Iyakushokuhinkyoku/0000168589.pdf)

特に少年の薬物事犯は平成に入ってから激減している(図-2)。つまり、別に罪を重くしないでも減っているのである。

図-2 少年の薬物使用(出典:平成30年版犯罪白書)