「子どもに決めさせている」の歪み
子どもに決めさせると言いながら、親が用意した目的地に誘導する。
「ママはBよりAがいいと思うけど、最後はあなたが決めなさい」
そう言われて、Bがいい!と答えられる子は、そもそも親からそんな問答をされなくても最初から「Bがいい!」と言える。もしくは、Bのメリットも散々説明してから、「ママの意見を言うとしたら」であれば、ふんふん、なるほど、と子ども側は「あくまでも参考意見」としてとらえられるだろう。
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そうはならないため、子どもたちにイエスマンが増えている。少年サッカーも、少年野球も、ミニバスケットボールも。そして学校でも。先生やコーチたちは口をそろえて言う。
「今の子はみんな、親の言うなりです」
ところが、対する親たちは、Yさんのように「子どもに決めさせています」と言う人が圧倒的だ。この乖離を、私は勝手に「仮面主体性」と呼んでいる。仲がいいように見せるのが仮面夫婦ならば、主体的で自立したような態をとっているけれど、実はそうではない。そうやって仮面をかぶり続けても、大学生になって就活や将来を考え始めたとき、自分で何も決められないことに子ども自身が気づく。