芸能人「10年以上前から薬物」報道…一体どれくらいの依存度なのか

ゼロからわかる「薬物依存症」(後編)
原田 隆之 プロフィール

薬物の依存性と害の大きさ

薬物の依存性の強さや害の大きさを比較することは難しい。それは、これらの薬物はみな作用も性質も違うからである。しかし、研究者はさまざまな方法を工夫して、それらを比較しようとしている。

たとえば、イギリスのナットらは、合法・違法含めて20種類の薬物の依存性の強度と害の大きさを数値化している。これは世界で最も権威がある医学雑誌ランセットに発表された論文である(5)

図-1は、縦軸に依存性の強度、横軸に害の大きさを表したものである。どちらも最も大きいのがヘロインであり、ヘロインは最悪の薬物であると言える。依存性がきわめて強いうえ、致死量が小さいので、欧米では過剰摂取による死亡が絶えない。

図-1 主な薬物の依存性と害の大きさ(Nutt et al. (2007)をもとに作成)
 

ヘロインの依存性は、最大の3.00である。それに次ぐのがコカインの2.39、そして第3位はタバコの2.21である。アルコールは1.91、覚せい剤は1.67である。タバコやアルコールの依存性が、他の違法薬物に引けをとらないどころか、大きく凌いでいることに驚かされる。

害については、同じくナットを中心とする研究者のグループが、より細かく分析している(図-2)。これもランセットに発表されたものであるが、自分に対する害と社会に対する害を分けて数値化したものである。

図-2 主な薬物の害の大きさ(Nutt et a.(2010)をもとに作成)

20種類の代表的な薬物のうち、最も害が大きいのは、何とアルコールであり、数値は72ポイントとなっている。これは、アルコールが合法であり、入手しやすいこと、広く用いられていることが大きく影響している。

2番目以下は、ヘロイン(55ポイント)、クラックコカイン(54ポイント)、メタンフェタミン(覚せい剤)(54ポイント)、コカイン(27ポイント)、タバコ(26ポイント)、アンフェタミン(覚せい剤)(23ポイント)、大麻(20ポイント)と続く。

(5)Nutt D. et al. (2007) Lancet, 369, 1047-1053.