全生物の「共通祖先」は「地球最初の生物」ではなかったかもしれない

38億年前に誕生した生命の謎
更科 功 プロフィール

次の「単系統群」は、1つの祖先種とその子孫種すべてを含む集合である。図2には、3つの単系統群が含まれている。黄色の三角で囲まれた部分だ。

【図】単系統群
  図2 1つの祖先種とその子孫種すべてを含む単系統群

3つ目の「クラウングループ」は、ある単系統群の中で「現生種すべての最終共通祖先」と「その最終共通祖先の子孫すべて」を含む集合だ。言葉で言うとややこしいが、図3で言えば、赤い三角形で囲まれた部分になる。

【図】クラウングループ
  図3 クラウングループ

ゾウの仲間の単系統群(図2の黄色い三角形)の中で、現生種はアフリカゾウとアジアゾウだけなので、それらの最終共通祖先はBになる。そのBの子孫には絶滅種であるマンモスも含まれる。したがって、ゾウの仲間のクラウングループは、アフリカゾウとマンモスとアジアゾウとAとBの5種になる。

 

一方、ある単系統群の中で「現生種すべての最終共通祖先に至る前に分岐したすべての種」の集合を「ステムグループ」と言う。したがって、ゾウの仲間のステムグループは、図3の紫色で囲まれた2種(マストドンとC)になる。ちなみに、当たり前だがステムグループは、かならず絶滅種だけで構成される。

カンブリア紀(約5億4100万年〜4億8500万年前)の代表的な捕食者として、アノマロカリスがいる。アノマロカリスはいくつかの特徴から、節足動物だと言われることがある。

【写真】アノマロカリス・カナデンシスの復元図
  アノマロカリス属ではじめに化石が発見されたアノマロカリス・カナデンシスの復元図 photo by gettyimages

しかし、アノマロカリスは、現生の節足動物を含むクラウングループの中には入らないようだ。少し脇道にそれたグループのようで、節足動物のステムグループである可能性が高い。アノマロカリスは節足動物だといわれることが多いが、それは節足動物のステムグループという意味である。