フランスには家庭内別居も家庭内離婚もない

フランスには芸能人や小説家でもなければ普通の人たちには、不倫文化がない。というと、こういわれそうだ。それは、ウソだと。サルコジ前大統領が離婚と結婚をくりかえし、はたまた同棲しているではないかという非難の声が聞こえる。ところがよくよく考えると、非難どころか大統領といえども一人の男性として、正直者のような気がする。愛がなくなるたびに結婚を解消し、新たな愛に挑戦し続けているバイタリティーを、国政に反映させていただきたかったのだが。

結婚してからなん年たっても、妻は夫の最愛の女性を演じているし、妻は夫を愛している。愛というものを決しておざなりにしないフランス人にとっては、夫婦こそ愛の絆で固く結ばれている生涯のパートナーなのである。

それではなぜ、フランス人に離婚が多いのかと反論されてしまうにちがいない。私のまわりのフランス人カップルも、そのなん組かは離婚した。なにかの事情で愛がさめてしまったカップルのゆく先は、離婚しかないからだ。

真剣に相手を愛すればこそ、愛を失った男女を待ち受けているのは別れ。家庭内別居とか仮面夫婦とか、家庭内離婚といった共生の妥協策は、フランス人の価値観には存在しないからだ。とはいえ彼らにも、婚外セックスはれっきとして存在する。フランスだからといって、絶対によそみをしないかといえばウソだ。

家庭内離婚や家庭内別居がほとんどないのは、「家庭内が冷え切っているのならはっきり離婚する」ということだ Photo by iSotck