フランス人は事実婚が多く、正式な「結婚」は日本より少ない。総務省統計局の「世界の統計2018」によると、人口1000人あたりの婚姻率は日本が5.0%、フランスは3.6%離婚率は日本が1.7%でフランスが1.9%。それでも出生率は日本が8.4%、フランスは12.1%。これは「籍を入れていないけれど子どもを育てる事実婚カップル」の多さにもよるのだろう。

「愛の国」を呼ばれるフランスパリに20年住み、現在は日本に暮らしている作家の吉村葉子さんは、多くのフランス人と話をして、フランスが「愛の国」と呼ばれる理由を強く感じだという。それをまとめたエッセイが、ベストセラー『お金がなくても平気なフランス人、お金があっても不安な日本人』の続編『激しく家庭的なフランス人、愛したりない日本人』(ともに講談社文庫)だ。そこから抜粋したエッセイで、「フランス人の夫婦の形」をお伝えしよう。

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好きな言葉は「アムール(愛)」

パリに住んでいたころ、日本の雑誌の取材で多くのフランス人にお会いした。

政治家もいれば有名デザイナーもいたし、三ツ星レストランのシェフたちもいた。これぞパリのブルジョワ・マダムといった感じの女性たちのお宅を訪問したり、彼女たちが主催するガーデン・パーティーを覗いたり、同じようにゴージャスなマダムやマドモアゼルに会ったりもした。正統な古典劇ばかりを上演するコメディ・フランセーズの優等生俳優や、ソルボンヌ大学の教授に会ったりもした。ワイン作りに命をかけているブルゴーニュのブドウ農家の人たちの情熱に感動し、人里離れた山の中の木工所で働く職人さんの話も聞いた。

数え切れないメチエ(職業)の人たちとの取材を終えて、その場をおいとまする際に私はよく、彼ら彼女らにこう最後の質問をしたのだった。

「あなたが一番好きなボキャブラリー、単語はなんですか」

円滑を意味するフリュイド(fluide)という言葉を挙げる人が数人いた。寛容を意味するトレランス(tolérance)という人もいた。そんなときに圧倒的多数の人たちに支持されていた言葉がアムール(amour)、つまり「愛」という言葉だった。

アムールは家族愛というよりも男女間の心と体の愛、のニュアンスが強い Photo by iSotck

だいぶ前になるが、国別セックス回数のデータがどこかの週刊誌ネタになり、ちょっとした話題になったのをご記憶ではないだろうか。あのときの数字によると、フランス人のセックス回数が他国を引き離し、ダントツに多かったのには笑えた(ギリシャも同様に多い)。20年もパリに暮らし、彼らの生態を知っている私はその数字をみて、妙に納得したのである。