農業は100年後にも可能なのか? 気候変動に耐える作物、実現へ!

気候と遺伝子、2つの視点から解説!

「年縞を分析したところ、過去の温暖化はわずか1年、最長でも3年という短期間で起こった可能性が高い。“今後100年で2~4℃上昇”というIPCCの予測は、地球の気候変動として必ずしも最悪のシナリオではありません。

むしろIPCCが暗に発しているのは、過去1万2000年とはまったく異なる気候状況が100年後に訪れるかもしれないというメッセージです」(中川教授)

今から一世紀後、気候が氷河期のように「暴れだす」可能性も完全には否定できないということだ。もしもそうなったとき、温暖かつ安定な気候の下で発展してきた農業は、どこまで気候変動に対応できるだろうか。

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「早く育つ」植物を目指して

農業が気候変動に対応する方法の一つは生育期間の短縮だが、そのためには植物成長の仕組みに対する理解が欠かせない。そもそも、植物は動物とちがって骨格を持たないにもかかわらず、なぜ重力に逆らってまっすぐ高く育つのか? 

 

「それは植物が細胞壁をもっているからです」と説明するのは、石水毅教授(立命館大 生命科学部)。植物成長の仕組みを長年研究している。

石水教授によれば、細胞壁には植物の構造をしっかり保つ「骨」の役割と、細胞同士をくっつける「糊」の役割があり、どちらも植物が育つうえで欠かせないという。

この糊の役割の基となるのが、細胞壁の30%を占めるペクチンという成分だ。食品にとろみや粘りを与えられるため、市販のジャムや即席デザートにも使われている。

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植物の成長に欠かせず、私たちの暮らしでも活用されているペクチンだが、その生成プロセスは近年までまったく分かっていなかった。その大きな理由は、ペクチンが「地球上で最も複雑といっても過言ではない構造」(石水教授)を持つため、ペクチンを生成する酵素を見つけるのが困難だったからだという。