渋野日向子ら大活躍のウラで…女子プロゴルフ界の「厳しすぎる現実」

諸見里しのぶも涙した…
週刊現代 プロフィール

シードの有無は死活問題

「昔と違って、ジュニアのときから世界レベルの経験をしてきている選手たちがトーナメントに出ることによって、アマチュアゴルファーでもポンと優勝できる時代になってきた。

選手たちはそうした若手の追い上げを目の当たりにしているから、逆に自分たちの力がどれだけ通用するのかという限界も見えやすくなっています」(プロゴルファーで解説者の塩谷育代氏)

そうして、幼いころからプレーをしてきても、プロテストに合格してプロゴルファーを名乗れるのはごく一握りだ。

 

今季からはこのプロテストに合格しなければ原則的にツアーには参加できないように制度変更がなされたのは記憶に新しい。

三浦桃香(20歳)が挑戦して、3年連続の不合格となり話題を呼んだほか、渋野も一度不合格になった経験がある。

さらに、やっとの思いでプロになったとしても、長きにわたりシード権を維持し、第一線で食べていくことのできる選手は数えるほどしかいない。

国内で行われる女子ツアーのトーナメントは全36試合(今年度)。シード権を得られる50人の選手は無条件でほぼ全試合に出場し、予選を突破するだけで、賞金を得ることができる。

逆に、シード権を持たない選手は予選会でよほどの好成績を残すか、スポンサー推薦などの特殊な条件を満たさなければ、LPGAのレギュラーツアーに出場することができない。

シード権を取れるか否かは、競技生活の命運を大きく左右する死活問題なのだ。

シード圏内から陥落した選手は、出場権をめぐる最後の戦いである「クォリファイングトーナメント」(通称・QT)に挑戦することになる。

その戦いは驚くほどに苛烈だ。基本的には11月下旬のファースト、12月上旬のファイナルという2つのステージを勝ち抜く必要がある。

敗者復活へのラストチャンスとなるQTに挑む選手たちは、文字通り「死に者狂い」になる。

一般ギャラリーの観戦が許されない会場では、ふだんテレビで見るような女子ゴルフの華やかさとはまったく異なるピリッとした空気が流れる。

「なかには、敗退が決まった瞬間に膝から崩れ落ちてわんわん泣いてしまう選手もいて、本当に不憫です」(ゴルフ雑誌記者)

かつて自身もQTに挑戦した経験のある村口史子プロが言う。

「QTは『これに通らなかったら試合に出られない』という焦りが常に頭をよぎって、とても平常心ではプレーできません。結果ばかりが気になって、目の前の一打にまったく集中できない。重圧で思うように身体が動かないんです。

私自身は幸い上位に踏みとどまって、翌シーズンのレギュラーツアーに出場できましたが、あれだけの状況で戦った末にシードに復帰できなかった選手たちは、相当がっくり来てしまうと思います。

できることなら出たくはないと皆が思っている。それくらい過酷なトーナメントなのです」