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元経済ヤクザが解説「株式投資無法地帯」

個人投資家が生き残る道
猫組長(菅原潮) プロフィール

個人投資家はどうすれば生き残れるか

だが、資本量の少ない個人投資家ほど、目先の利益を追求する傾向が強い。ボラの高い銘柄は良く見えると思うが、それこそ丸裸で「捕食者」の群れに飛び込むようなものだ。こうした場所には近づかないのが、最良の策だと言えるだろう。

もう一つの方法が「無視」だ。「銭」を積み上げるということは、時間軸が短ければ短いほど「捕食者」が活躍する確率は高くなるということだ。

そこで、個人投資家が追求しなければならないのは、「デイ」という短期ではなく、中長期でのリターンを求める「王道の投資」ということになる。そのための銘柄選定にはいくつかの方法があるが、一番重要な要素は企業の「成長力」であると私は考えている。

もちろんリターンを待っている間に、買った銘柄に「捕食者」が群れることがあるかも知れない。だが機械同士の共食いは放っておけばいい。短期の収益を求める「捕食者」は、ほどなく次の場所へ移動するからだ。

株価は企業の成長に付いてくるのだから、勝負はその先の時間軸にある。機械との勝負に力を注ぐよりも、「成長力」の分析に集中するほうが合理的と言えるだろう。

 

AIに勝つにはスキルではなく感性

だが「成長力」などの分析に必要なのは、スキルではなく感性であることに気がつく人は余りにも少ない。

囲碁や将棋などロジックの世界でAIアルゴリズムが人間を凌駕することができても、芸術の世界で勝ったというニュースは聞いたことがない。沢木耕太郎氏の『時の廃墟』(文藝春秋)に収録された「鼠たちの世界」には、相場師から明治物産の創業者となり、東京穀物商品取引所の第4代理事長を務めた鈴木四郎氏による「相場観」がこう紹介されている。

「私たちはね、相場が真っ赤に燃え上がる寸前にそれが見えるんですよ」

なんとも抽象的な言葉だが、現在においても凄腕の株投資家はチャートを「きれいだ」「美しい」と表現し、そうした時に必勝に近い確率でリターンを得る。アナログな相場の時代からAI時代になっても、優れた投資家が優れた感性の持ち主であることは揺るがない。

「ヒト」が機械に勝てる要素は「感性」なのだ。

とはいえ「株」だけを研究しても、「株」に特化した感性が育つのみだし、そこはすでに機械が支配する世界だ。ならばまったく違う刺激によって感性を育てることが株で勝つための最短の方法と言うことになる。

株投資で15%の利益を得ることは私にとって難しいことではない。だが、その労力は簡単なものではない。もし今、投資できる資本が10万円しかないのならば、15%のリターンを得ることより、絵やオペラ、クラシックのコンサートを鑑賞したり、文学作品を読み、感性を育てるべきだ。投資の世界で、すでにベテランの私でも感性を磨く努力は怠らない。

AI時代の現在、それこそが、「ヒトのヒトによるヒトのための王道の投資」において最良の道だと私は考えている。