12月12日 ジョセフソンコンピュータ実証成功(1989年)

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

工業技術院電子技術総合研究所(現在は産業技術総合研究所に再編)はこの日、4個のLSIチップを使用して動作する「ジョセフソンコンピュータ」の実証に成功したことを発表しました。

 

ジョセフソンコンピュータとは、薄膜絶縁層を超伝導体で挟んだサンドイッチ構造のジョセフソン素子によるコンピュータで、超電導状態でのジョセフソン効果(接合部に電流を流すと、電圧が発生する効果)を利用したスイッチング素子です。この電圧変化がスイッチのオン・オフに相当します。

【図】ジョセフソン効果
  ジョセフソン効果

スイッチング動作の応答性が非常に高速で、消費電力も少ないことから、コンピュータへの応用が期待され、1970年代後半から研究が続けられてきました。従来のコンピュータへの応用のほか、 量子コンピュータへの利用も考えられますが、まだ実用化には至っていません。

このとき作られたジョセフソン・コンピュータ“ETL-JC1”の集積回路では、熱サイクルによる影響を回避するために、鉛合金による超伝導体の接合ではなく、レアメタルの一種であるニオブ(Nb)系の超伝導体を用いました。

回路は2万2000個の超電導素子を使って、レジスター算術論理演算、シーケンス制御、命令メモリー、データメモリーの4種の集積回路にまとめ、その動作を確認した、ということです。

しかしその後、半導体素子が進歩した一方、熱サイクルによる経時変化を抑えるために冷却システムが必要となることなどから、ジョセフソンコンピュータの研究規模は縮小されてきました。

日本でも、1990年代の通産省(当時)による「ジョセフソン素子ハイブリッドシステムの研究開発」などを最後に、大規模な研究は行われなくなっています。

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