同じ境遇の人に会いたい

そんな苦しみの中で、恵美さんは、しだいに自分の願いに気がついていった。

「私は同じ理由で中期中絶を体験をした人に会って、思い切り話したいんだとわかってきたんです。それなら、私がお話会を開いたら、誰か来てくれるかな、と思いつきました」

そこでブログで呼びかけてみると、すぐに4人の、恵美さんと同じ境遇の母親が参加申し込みをしてくれた。
恵美さんが、求めてやまなかった時間が、ついに訪れたのは初夏の風が薫る五月のことだった。中絶から、半年近い時間が流れていた。

「集まってくれたママは、誰もが『こうして同じ想いをした人と会えるなんて、思ってなかったよ』と言っていました。来た人みんなが本当に孤独だったんです」

ネットには、「天使ママ」と呼ばれる、赤ちゃんを自然死産で亡くした母親たちのコミュニティがあるが、そこにも居場所はなかった中期中絶の母たち。そんな寄る辺のなかった母たちが、やっと集まることができた。恵美さんは会を「Ohanaの会」と命名した。子どもに供える「花」、そしてハワイ語で「家族」という意味もあるオハナという音に、ずっと抱えてきた思いを込めた。 

Ohanaの会のウェルカム・ボード。会では約半数の母親がメモリアル・ベアを作っている 写真提供/依田恵美