2019.11.29
# 米国

トランプ弾劾、いよいよ「待ったなし」になってきたワケ

アメリカの憲法と国家を守るために
橋爪 大三郎 プロフィール

「脅し(クイド・プロ・クオ)」か、否か…

下院と上院では、議員の行動様式が異なることを理解しよう。下院では議員は、所属政党の方針に従って、投票する。日本の国会と同じだ。

けれども上院では、個々の議員が自分の信念に従って、投票する。自党の提案に反対したり、他党の提案に賛成したりする。だから、個々の議員に働きかける「ロビイング」が活発なのだ。

弾劾の場合も、個々の上院議員が、自分の考えで票を投じる。トランプの弾劾に前向きなのは現在、共和党では、ミット・ロムニー上院議員をはじめ4名だ。これにあと何名上積みできるかが、勝負の分かれ目である。このことを、頭に入れておこう。

ミット・ロムニー上院議員〔photo〕gettyimages

さて、トランプ大統領は、なぜ弾劾されかかっているのか。

ウクライナ外交でメチャメチャをやった。ウクライナは、アメリカの大事な同盟国である。そのウクライナに、バイデン元大統領と息子のスキャンダルを調査しろ、と迫った。ウクライナへの軍事援助も凍結した。

脅し(クイド・プロ・クオ)ではないのか。

 

大統領が外国の政府に、自分の政敵のスキャンダルを調査しろと要求すれば、憲法違反だ。議会が決めた軍事援助を、勝手にストップすれば、権力の濫用だ。弾劾されても当然である。国務省の外交官や軍、情報関係の専門家たちは当惑し、危機感をもった。だから告発者(ウィッスル・ブローワー)が現れて、議会に通報したのだ。

トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領にかけた電話が、疑惑の焦点だ。ホワイトハウスが通話記録を公開した。トランプは、「クイド・プロ・クオ」と言っていない、通話は問題なし、と胸を張った。

下院で公開の証人喚問が、TV中継された。11月20日には、EU大使のソンランドが証言した。ソンランドは、トランプに多額の献金をして大使にしてもらった人物だ。その彼が、「通話は、クイド・プロ・クオです。それは政権の共通認識です」と証言した。重要な証言だ。共和党は、トランプ本人が「クイド・プロ・クオ」と言ったわけではないではないか、と反論している。

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