とりあえず主婦になると2億円損する?「貧困専業主婦」という大問題

「女性の就業選択」に潜む危うさ
周 燕飛 プロフィール

生涯でみると「億単位の損」

妊娠・出産による退職が女性にとってどれだけ損なのか、一時点の収入額で比較するだけでは不十分だ。退職の影響はその後もずっと続くため、生涯所得で比較する方が適切である。

そこで、筆者は既存の統計データを用いて専業主婦の損失額をなるべく正確に試算してみた。

その結果、生涯賃金、退職金および国の年金を含めた収入総額は、学校卒業後に「ずっと正社員」の場合では高校卒が約2億円、大学卒が2億9000万円となっている。

一方、30歳まで正社員として働き、40歳から64歳までパートとして仕事復帰する「(元)専業主婦」の場合では、高校卒が9300万円、大学卒が8900万円となっている。

差額をみると、キャリア女性と主婦の生涯収入格差は、高校卒では約1億円、大学卒ではなんと約2億円となる。妊娠・出産退職したのち、一度も働かずずっと専業主婦のままだと、差額は1億2400万円(高校卒)~2億3100万円(大学卒)にまで広がる。

 

もちろん、上記の試算額には税、社会保険料、配偶者控除と配偶者手当が考慮されていないため、手取りでの実質差額は2億円より数千万円ほど小さいものと思われる。また、最近の傾向として、専業主婦を経てからパートではなく、派遣社員、契約社員などとしてフルタイム就業する者も多い。その場合、実際の差額はもっと縮むだろう。

しかしながら、総じていえば「(元)専業主婦」は生涯でみると、億単位での「損」を被っていることは、もはや揺るぎない事実といえる。

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