とりあえず主婦になると2億円損する?「貧困専業主婦」という大問題

「女性の就業選択」に潜む危うさ
周 燕飛 プロフィール

「共働きが多数派になった」という誤解

この国勢調査の結果を裏付けるデータが、2015年に実施された「第15回出生動向基本調査」からも得られる。それは、出産前に働いていた女性の第1子出産前後の継続就業率である。

継続就業率は若い世代ほど上がる傾向だが、最近(2010~14年)に出産した女性でさえ、継続就業できた者は4割未満(38%)である。子どもを産み終えた無職の妻の86%が就業を希望するものの、そのうち9割弱がパート・派遣での就業を望んでいる。

かつて主流であった世帯形態である「専業主婦」モデルは、すでに「夫婦共働き」モデルにとって代わられたという認識は、大きな誤解だと言える。

 

女性が、妊娠・出産を機にキャリアの主戦場から離れ、家事・子育てを一手に引き受けて夫の仕事を支えるというのは、実は現在も一般的なスタイルとなっている。また、子育てが一段落したら、家事等の傍らでパートとして再就職するという専業主婦流のライフパターンは、今も昔もかわらず大多数を占めている。

図表1 雇用者世帯の妻(15~64歳)の就業状態

出典:総務省統計局「国勢調査2015」(第21表)より筆者作成。

専業主婦は「貧しさ」の象徴か

ところが、専業主婦世帯が「中流の暮らし」を維持するために必要な収入額を稼げる男性世帯主は、大きく減少した。ブルーカラー層を含む幅広い職種において、男性の賃金のみで中流階級の生活を享受することができた1970~80年代と違って、現在は専門職のホワイトカラー層男性ですら、それが難しくなってきた。

2015年現在、夫婦と子ども2人の4人世帯における標準生計費は月額31万円程度である。標準生計費に、税と社会保険料等の固定支出が加わる(貯蓄ゼロと仮定)と、専業主婦家庭ならば、夫は年間476万円を最低限稼ぐ必要がある。

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