とりあえず主婦になると2億円損する?「貧困専業主婦」という大問題

「女性の就業選択」に潜む危うさ
周 燕飛 プロフィール

今なお根強い「専業主婦モデル」

夫が外へ働きに出て、妻が家事と育児を一手に引き受けるという男女役割分業規範に基づく「専業主婦」モデルは、1960年代の高度経済成長期になってから普及した歴史の浅いライフスタイルである。早い段階で工業化した欧米の先進国に比べ、日本の「専業主婦」は、遙かに遅く始まり、急速に浸透したライフスタイルと言える。

しかしながら、「日本は、いまでも専業主婦の多い国である」と言われると、驚く読者が多いかもしれない。

確かに、首都圏に住む筆者の身の回りでは、以前と比べるとずいぶん共働き世帯が増えている印象がある。筆者自身も、この研究を始める前までは、日本はすでに「共働き社会」に移行した国だと思っていた。専業主婦が主流だったのは昔の話で、現在は少数の裕福な家庭に限られていると思い込んでいたのだ。

 

共働き社会への移行を示す根拠として、しばしば引用されるのが総務省統計局「労働力調査特別調査」である。この調査によれば、専業主婦世帯数は、1997年頃にすでに共働き世帯に逆転されている。2016年時点で、夫が雇用者である世帯に占める専業主婦世帯の割合は37%までに低下し、1980年の65%に比べて28ポイントも下がっている。
 
しかし一方で、これは見方を少し変えれば、「専業主婦」モデルの健在ぶりを示すデータでもあることが分かる。

主婦パートとしてある程度の労働復帰をする「専業主婦」は、昔から多かった。メインの活動は家事や育児だが、その傍らでパートとして仕事をしている女性たちだ。

最新の国勢調査によれば、これら「主に仕事」をしているわけではない妻を加えて広義の「専業主婦」とすると、その数は全体(15-64歳)の63%を占めており、共働き世帯の数を上回る。つまり、労働市場に本格的にコミットする既婚の「キャリア女性」は、いまだに3人に1人程度しかいないのである(次ページ図1)。

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