入社後の定着率を左右するのは「巻き込み主体力」にあった

内定も入社も、ゴールじゃない
田中 瑠子 プロフィール

例えば、学生から「○○企業の方を紹介していただけないか」と相談され、知り合いの社会人をつなげることがある。LINEやメッセンジャーで双方がつながると、「△△大学の□□という者です。よろしくお願いいたします」と挨拶まではスムーズに進むのだが、それ以降、具体的な日程調整が一向に始まらない。こうしたケースが多々あるという。

「自ら社会人に会いたいと言っているのですから、相手の予定をお伺いしたり候補日を伝えて検討していただいたり、アクションを起こさなければ物事は動きません。しかしながら、相手から提案されるのを待っている。そうした、一歩踏み込んだコミュニケーションをとれない学生がすごく増えています。ほんの一歩なのです。

他にも、都合が悪くなってリスケジュールをするときも、別日程を提示してこないので、社会人は『もう会う気がないんだな』と思ってしまう。相手の出方を待ち、アクションを起こさないことで機会損失につながっている例が就活事情で綻んでいます」

変革スピードが速い現在のビジネスシーンにおいて、相手のアクションを待っていては仕事が進まない。自分が相手に求めていることを伝え、行動してもらうようコミュニケーションを深められるかどうかが、成長スピードを決めるのだ。

 

相手にどう伝わったかが大切

活躍できる人材(2)
相手にどう伝わるかを考えられる「自己認識力」

社会人のコミュニケーションは、「自分がどう伝えたかではなく、相手にどう伝わったか」である。「相手の立場だったらどう思うか?」という他者視点を持てるかが、チームやお客様ありきのビジネスシーンで、物事をスムーズに進める大事な要素だ。
学生の多くが「口を使わない」時代を過ごしてきているため、それが社会人1年目の大きな壁になっていると西村さんはいう。

「『LINEで伝えました』というコミュニケーションは、現代の特徴の一つだと思います。面と向かって会う機会があっても、肝心なことは口で言わず、『あの件どうなった?』と突っ込んでようやく、『LINEで言いました』と返ってくることが多々あります。ただ、LINE上のやりとりだけでは仕事は進みません。思いを口で伝え、相手がそれをどうとらえるかを感じ取り、次の伝え方を考える。そのPDCA※1に慣れることが、1年目の活躍を決めます」

一方で、今のコミュニケーションの難しさは、リアルとバーチャルを同時並行で考えなくてはいけないところにもある。どのビジネスにおいても、SNSを通した発信力は無視できず、対面コミュニケーションとはまったく異なるチャネルでも「伝わるように伝える」力が求められる。

「SNSでは広いターゲットに向けて、最後まで読ませる文章を考えなくてはいけません。SNSの先にいる読者がどんな状況でその情報を目にするのか。チャネルごとに求められる相手視点の想像力が必要ですね」

※1 Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)