# 消費増税

消費増税後の日本経済、ここへきて「再デフレ」が懸念され始めたワケ

時間をかけてじわじわと効いてくる
安達 誠司 プロフィール

企業の利益が縮小している

以上から、ここまでの今回の消費増税の影響をみると、特に価格面で従来とは大きく異なった動きをしつつあると考えられる。今回、多くの消費関連ビジネスで価格転嫁の度合いが低いということは、消費増税による税負担が消費者に転嫁されなかったことを意味している。これは、消費者サイドからみれば、確かに「ありがたい」ことである。

だが、この「ありがたさ」が持続するためには、消費増税が家計の所得環境や雇用環境に影響を与えないことが重要であり、それは、残念ながら売り手である企業サイドの経営スタンスに依存している。

消費増税分の価格転嫁が行われていないということは、企業側からみれば、利益マージンが縮小しているということであり、企業が利益水準を維持しようと考えるのであれば、労働コストを削減する方向に舵を切る可能性があるということである。

そして、労働コストを削減する手段としては、新規の雇用削減、雇用形態の正規から非正規へのシフト(消費税の仕入れ税額控除を考えると非正規社員を増やした方が税制上は有利であるといわれている)、残業代の削減等が考えられる。

そこで、雇用関連指標をみると、新規の求人数の伸び率は既に減速トレンドに入っており、正規社員の減少と非正規社員の増加がみられつつあること、働き方改革の影響で残業時間が減少していることから、日本における雇用改善の動きはピークアウトしつつあると推測される。これが消費増税をきっかけに加速するようなことがあれば、消費増税のマイナスの影響は、時間の経過とともに段階的に強まっていくことになろう。

 

これは、従来の消費増税の影響(駆け込み需要増の反動と増税の価格転換による実質可処分所得の減少によって消費の絶対額が大きく減少し、その後、半年から1年程度でゆっくりと影響が軽減していく)とは異なるものであり、従来のパターンを単純に当てはめると、短期的には影響が極めて軽微なように錯覚しがちなので注意する必要があるだろう。

このように今回の消費増税は、従来にも増してデフレ促進的であり、政府が対応を誤れば、再デフレに陥るリスクがあると懸念している。