遺産1億2500万円を夫の兄弟に奪われた「内縁の妻」の無念

夫は何をすべきだったのか?
井口 麻里子 プロフィール

二人で50年働いて築いた財産

康夫さんの戸籍謄本によれば、両親は既に他界し、配偶者はなし、子供なし、ということで、康夫さんの兄弟(兄と弟二人)三人が法定相続人ということになりました。

知らせを聞いて集まったのは、半世紀以上も康夫さんと生きてきて、絵里子さんが初めて見る康夫さんの兄弟でした。

康夫さんも絵里子さんも、若いころに故郷を出て、事情があって二人で寄り添うように生きてきて、実家とは没交渉だったのです。

 

康夫さんの兄弟三人は、早々に遺産分割協議を済ませ、康夫さんの自宅(時価4,000万円相当)、賃貸マンション二部屋(時価各2,000万円相当)を、全て売却してお金に換え、康夫さんの預貯金(4,500万円)と合わせて、1/3ずつ分けることで合意しました。

兄弟三人は、絵里子さんとは初めて会ったわけですから、何ら同情の念を抱くこともなく、速やかに自宅を出ていくことを要求しました。

二人で50年働いて築いた財産、時価1億2,500万円相当

血が繋がっているというだけでなぜ持っていかれなければならなかったのか、絵里子さんは憤りを通り越して無力感の底に突き落とされました。

こうして絵里子さんは、兄弟三人に何を言うこともできず、夫婦二人で長年暮らし、大切な思い出の詰まった自宅を出ていくことになりました。

居住権を主張して兄弟三人と渡り合うような気力は、絵里子さんには残っていませんでした。

「定期的な収入があったら老後も安心だね」と言って、二人で探して購入した賃貸マンションも売却されてしまいました。

康夫さんの店を長年手伝ってきたため、絵里子さんにも多少の蓄えはあったものの、高齢を理由に、マンションを貸してくれるところなどありません。

仕方なく、自立型老人ホームを終の住処として入居することにしました。

photo by gettyimages

自宅を出て新たに集団生活を始めることとなった絵里子さんは、環境の激変についていけず、すっかり弱ってしまいました。

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