忘年会帰りに死ぬ人がいる…法医解剖医がどうしても伝えたいこと

溺死、喧嘩、交通事故…死は意外と近い
西尾 元 プロフィール

お酒を飲んだ後に喧嘩すると危ない

今度、解剖室へ運ばてきたのは、40代の男性。忘年会の帰りに些細なことから友人と喧嘩になったのだという。相手に顔を殴られて倒れた後、意識がなくなった。病院に運ばれたときには、すでに心肺停止状態だった。

顎の左側に打撲の痕がある。後頭部にも打撲傷がある。顎は相手から殴られたときに、後頭部は倒れたときに道路とぶつかってできた傷に違いない。それ以外に傷はできていない。

〔PHOTO〕iStock
 

頭蓋骨に骨折はなかった。だが、頭蓋骨を開けてみると、脳の底面がひどく出血していた。くも膜下出血といわれるものだ。

くも膜下出血というと、脳底部の動脈瘤が破裂して病死するものがよく知られている。だが、男性に起こったくも膜下出血は、病気で発症したものではない。

男性はひどく酔っていたようで、顎を相手から殴られたときに、首が大きく前後に曲がってしまったようだ。お酒を飲むと、首の筋肉の緊張がなくなってしまう。殴られたときに、首が大きく揺れることになる。このときに、脳底部の動脈が裂けてしまった。

お酒を飲んだ後に、喧嘩するのは危険だ。男性のように脳底部の血管が裂けたり、路上に転倒したときに頭を強く打ったりすることがある。