忘年会帰りに死ぬ人がいる…法医解剖医がどうしても伝えたいこと

溺死、喧嘩、交通事故…死は意外と近い
西尾 元 プロフィール

溺死したわけ

男性の死因は、溺死だとわかった。

用水路に倒れていたのだから、男性が溺死したとしてもおかしくない。だが、この男性の死の状況には、不自然なことがあった。

 

男性が発見された用水路の水深は、せいぜい10センチメートルだったのだ。そんな浅いところに倒れ込んだからといって、普通であれば、溺死するようなことはない。立ち上がってしまえばすむことだ。だが、この男性は、確かに、水深10センチメートルの用水路で溺死したのである。

警察からの話では、男性は、忘年会でお酒を飲んでいい気分になって歩いていた。何かの拍子に、道路脇の用水路に転落したらしい。倒れ込んだ場所で立ち上がることができずに、男性は溺死してしまったというわけだ。

用水路に倒れ込んだとき、酔っていた男性は自分がどこで、何をしているのか、さっぱりわからなかったに違いない。

車に轢かれて亡くなった人

道路で車にひかれた50代の男性が運ばれてきた。男性を轢いた車は見つかっていない。ひき逃げ事件だという。

交通事故で亡くなった人を解剖するとき、法医解剖医が注目する場所がある。それは亡くなった人の足である。そこにあるべき印を確認するのである。