JKビジネスの問題点は「君」よりも
「ビジネスを成立させる大人」

JKビジネスをすると「君」が汚れ、価値が下がるというのは、本当だろうか?

そもそも、女性に「真っ白」でいてほしい願望も気になるところだし、別にそういう願望を抱く人から好かれるために生きていないというツッコミもしたくなる。が、それはまた別の議論にするとして、いずにせよ、JKビジネスをしたからといって、その女の子自身の価値が汚れる、下がるなんてことはまずあり得ない。

トンミ氏の主張に沿えば、これはまさに、責める相手を間違え、守るべき存在を不当に貶めている典型例だ。この状況においてまず責められるべきは、18歳未満の子供を危険な状況に晒し続けている成人側だ。買う側はもちろん、それを準備する業者、もう少し広く言えば、それを許容し続ける社会も問題といえるだろう。

本来「性的搾取」と扱われるべきものがビジネスとして存在していることが問題なのであり、「君」が汚れるわけではない

それらが明確にされた上で、女子高生たちは、自分の体やセクシュアリティに関してネガティブな感情を植えつけられることなく、その行為のリスクを伝えられる権利があるし、もしその行為になんらかの理由、意味があるなら、大人はそれにきちんと向き合う必要がある。

たかが広告、と思うかもしれない。しかしながら、こういった意識、無意識の力を見くびってはいけない。

先ほどの広告は多少極端だったかもしれないが、これまでも、例えば結婚前に性的行為のあった女性は「キズモノ」と呼ばれたり、「嫁入り前の娘が」という言葉をかけられてきた。これらの言葉、意識は、彼女たちの安全を実現するどころか、その子自身の体やセクシュアリティを貶める。

このような、あるグループに属す人に貼られるネガティブなレッテルや恥の意識は「スティグマ」とも呼ばれ、世界中で排除や差別の大きな要因となっており、私の学ぶ公衆衛生でも喫緊の課題だ。

このポスターを例にすれば、周囲の人間が無意識にでも「JKビジネスなんてする人汚れているし価値も低い」とレッテル貼りすることを指す。また、実際にJKビジネスの中にいる子がこの広告によって「自分はもう真っ白じゃないから好かれもしない、汚れてるんだ」とスティグマを内面化することもあり、結果的として精神的に追い詰められたり、孤立してしまう可能性もある。

このように、スティグマはそれを内面化することでそれ自体がこころの健康にダメージを及ぼすし、スティグマによる偏見差別への恐れが病院や相談窓口へのアクセスを阻むこともある。それは本当に、よりよい社会の構築に貢献するのだろうか。私はこういった言葉や意識の積み重ねが、本来ならサポートを要する若者を、より安全な場所から遠ざけているように思えてならない。

スティグマは、健康を含め人生にも大きなダメージを残してしまう。photo/Istock

体やセクシャリティの否定はトラウマになってしまう

では、どのように子ども達に向き合えば良いのか。

私たち大人がすべきことは、被害者を責めたりスティグマの強化に加担したりすることではなく、性加害を容認しない社会を作ること、そして、何か問題があったときに彼らを正面から受け止められる姿勢を身につけることだと思う。

そのためにも是非、トンミ氏のいう、「body and sexuality are good, but the situation was wrong(体やセクシュアリティは間違っていない。しかし、状況は間違っていた」というこのシンプルな線引きを心に留めてほしい。ふとした日常の積み重ねの中でも、どうか責めるべき対象を間違えず、「この人になら相談できるかも」と思える存在で居続けてほしい。

また、大前提として子供に対して大人は、金銭の授受にかかわらず決して性的行為をしてはいけないことも付け加えておきたい。それはセックスでも愛でもセックスワークでもなく暴力だからだ。

そして勿論、幼い頃からの包括的性教育も忘れてはいけない。実際、自分に何が起きたのかを理解し表現するための語彙を知らなかったが故に、大きくなってからそれが被害であったと気付くというケースも少なくない。包括的性教育を通して、自分のからだは自分のもので、自分のからだを勝手に触られても、他の人のからだを勝手に触ってもいけないこと、もし嫌だなと感じることがあれば、信頼できる大人に相談していいし、あなたが守られることは権利だと、繰り返し伝えられることが何より重要だ。家庭の中でも、ぜひ実践してほしい。