10代で経験した苦しいことが、
今のお芝居の糧になっている

16年に連続テレビ小説『とと姉ちゃん』に出演。翌年、TBSの金曜ドラマ『リバース』で、エキセントリックな妻の役が話題となった。18年には、TBSの日曜劇場『ブラックペアン』の仕事のできるクールな看護師役が印象に残った人も多いかもしれない。

昨年主演した映画『生きてるだけで、愛。』では、高崎映画祭の最優秀主演女優賞や、おおさかシネマフェスティバルの主演女優賞など、数々の賞を受賞する。そうやって、映像でも知名度を上げ、存在感を増していく中、自分が演じることに目覚めた舞台の仕事でも、順調にキャリアを重ねている。この冬は、シス・カンパニーの「日本文学シアターVol.6 [坂口安吾]『風博士』」に出演。中井貴一さん、段田安則さん、吉田羊さん、渡辺えりさんなど、そうそうたる“演劇人”と共演する。

撮影/岸本絢

「人によって、心に残るものが違う作品になると思います。私自身も、稽古をしながら、『あの言葉はどういう意味だったんだろう?』『あの感情は何だったんだろう?』なんて考えたりします。でも、結局、それは他の人にとってはなんでもない。きっと、観た後に感想を伝え合って、『そうか、人ってみんな違うんだ!』って実感できるような舞台になる予感がしています。

稽古でも、先輩方のお芝居を観るたびに、『うわ、先生だらけ!』って思います(笑)。戦争中の大陸が舞台で、ずっと前の時代のお話なのに、『こういう人、いたかも!』って思う。セリフはすごくポップなんですけど、人間の持つ感情の、それが生まれる背景みたいなものが浮かび上がって、言葉の一つ一つに余韻が感じられます。昔の話だけれど未来に向かっていて、新しいものを見たと同時に、懐かしさみたいな空気感もあるんです」

ずっと、早く30代になりたいと思っていた。9歳より19歳の方が、19歳より29歳の今の方が、いろんなことが客観的に、クリアに見えている。夢が叶わなくても、人生は続いていくこと。世の中には、いろんな人がいること。人前に出て輝いている人は、血の滲むような努力をしていること。どんな人間も、自分の人生の主人公であること。そうやって、必死で生きる人たちに思いを馳せられる仕事に就けたことが、今は嬉しくて、楽しくて仕方がない。

若いときに経験した苦しいこと、楽しいことが、私の芝居の糧になっている。これから経験する苦しいこと、楽しいことも、きっと芝居の糧になると思うと、まだまだ、どんどんいろんなことを経験したいなと思います。結婚願望?……それは、うーん……今はないですね(笑)。頭の中は仕事のことでいっぱい、というわけではなくて、今はとにかく、“一人が楽しいモード”なんです。

結婚に興味がないとかじゃなく、なるようになるだろうって思っているのかな。でも、寂しいからとか、将来が不安だから頼れるパートナーを、という考え方にはちょっとだけ抵抗があるかもしれない。“一人でも生きていける強さ”は、ちゃんと持っていたいです」

日本文学シアターVol.6 [坂口安吾]『風博士』
無頼の作家・坂口安吾へのリスペクトから、北村想がイメージを広げた新作戯曲。敗戦濃厚となった戦時下の大陸を舞台に、風を読むことができるという男のもとに集まった人たちの姿を描く。出演に中井貴一、段田安則、吉田羊、趣里、林遣都、渡辺えり他。11月30日(土)~12月28日(土) 世田谷パブリックシアター ☎03-5423-5906(シス・カンパニー) 2020年1月大阪公演あり http://www.siscompany.com/kazehakase/

スタイリスト/岡村春輝 ヘア&メイク/佐鳥麻子

ジャケット¥64,000(エボニー/シック☎03-5464-9321)、トップス¥36,000(ステア/ステア☎03-5465-2077)、スカート¥36,000(BAUM UND PFERDGARTEN/UNIT&GUEST☎03-5725-1160)、シューズ¥135,204(Midnignt 00/ファーフェッチカスタマーサービス☎050-3205-0864)、ピアス¥30,000、リング¥35,000(ともにドロウ ジュエリー/ドロウ フィーグ☎03-6868-3337)