ビッグデータが切り開く、中国の「超先進IT社会」と「超監視社会」

利便性は「絶対服従」の入り口か?
野口 悠紀雄 プロフィール

政府版の社会信用システム「百行征信」

中国政府は、2014年に公表した「社会信用制度の構築に向けた計画概要」において、「2020年までに国家規模の社会信用システムを構築する」と発表した。

この実現のため、中国政府は、「百行征信」(バイハンクレジット)を2018年1月に設立した。

この目的は、保険料の未納や賠償金の未払いなどを行った人のブラックリストを作成し、ペナルティを課すことだ。

中国政府系の業界団体である「中国インターネット金融協会」が株式の36%を保有し、64%を中国人民銀行から信用調査業務の試行を許可された8社が保有する。8社の中には、アリババ系の「芝麻信用」やテンセント系の「騰訊征信」も含まれる。

バイハンクレジットと、芝麻信用などの民間の信用スコアリングとの境界は曖昧だ。

信用調査機能は、今後、バイハンクレジットに統合されていくとされている。

 

すると、信用情報が警察や公安と共有される可能性がある。そうなっているかどうかは分からないが、その可能性は十分にある。

こうなれば、全国民のデータを蓄積した社会的信用システムが構築される可能性がある。

電子マネーの顔認証から得られる顔情報、電子マネーの利用状況から作られる信用スコアリング、そして、社会信用システム。これらの全てが結びつくと、巨大な管理社会が実現する可能性がある。中国はそれに向かって進んでいると考えることができる。

「ブラックリストに載った人が飛行機の搭乗を禁止された」という報道もなされている。