「持ち家か賃貸か」災害多発時代の到来で、ルールはこう変わった!

変化に取り残されると大変なことに…
加谷 珪一 プロフィール

日本の住宅ローンの恐ろしさ

こうした環境の変化は、当然のことながら住宅に対する価値観にも影響を与え始めている。今回の台風災害をきっかけに、ネットでは若い世代を中心に、自身の生活を身軽にすることへの関心が高まっている。

もともと一部の若年層の間では、持ち物を極限まで減らしてコンパクトに生活する「ミニマリスト」という生活スタイルがちょっとしたブームとなっていた。今回の災害をきっかけに、コンパクトな生活に対する意識がより高まったとみてよいだろう。

〔PHOTO〕iStock
 

戦後の日本社会では、いつかは家を持つという価値観が標準的となっており、賃貸住宅はあくまで仮の住まいという認識だった。住宅保有が最優先されたことから、家が建つ場所もほとんど考慮されなかった。日本では住宅が危険な場所に建っているケースがザラにあり、欧米と比較すると住宅の品質も劣悪だが、これも、何としても住宅を保有したいという消費者意識を反映したものだろう。

日本の住宅ローンは、家を手放したとしても、残りの金額をすべて返済しなければならない規約だが、米国の住宅ローンはそのような仕組みにはなっていない(ノンリコースローン)。もし返済できなくなったら家を手放すだけでよく、家を失ってもローンの返済に追われるという状況には陥らない。

米国人から見ると、日本の住宅ローンはあまりにも恐ろしい商品で、とても手が出せるものではないのだが、日本の消費者はこうしたリスクをまったく気にしないのだ(つまりどんなに危険であっても家が欲しいということになる)。

少し誇張して言えば、日本人は、リスクが高い場所に耐久性の低い家を建て、災害で家を失っても返済が残る住宅ローンを抱えているということになる。
 
年配の読者の方であれば、1977年に放送されたテレビドラマ「岸辺のアルバム」における、多摩川の堤防決壊によってマイホームが丸ごと流されていく鮮烈なラストシーンを覚えているはずだ。戦後の日本人にとって家はまさに聖域と呼べるものだった(このシーンには実際の報道映像が使用されている)。