動画ストリーミング、「生き残り」をかけた熾烈なバトルが始まった!

鍵を握る立役者はアマゾンだ
石原 順, マネクリ プロフィール

コンテンツ制作費が高騰、生き残れるのは誰か

先ほど「早い」「安い」「うまい」がストリーミングサービス拡大の理由であると述べたが、各ストリーミングサービスが顧客を取り込むためには、コンテンツの良し悪しがますます重要となっており、原作、脚本の取り合いが起きていると言う。このため1本あたりのコンテンツ制作費用が高騰している。

フィナンシャルタイムズの記事「Online streaming: Television’s looming car crash」(オンラインストリーミング:テレビの迫り来る自動車事故)によると、2018年に米国で制作されたTV番組シリーズは496と、2010年にリリースされた216シリーズの2倍以上だった。

過去8年間でショーの数は129%増加したが、米国の人口はわずか6%の増加に過ぎず、大手メディアグループの幹部によると「これはゴールドラッシュではなく軍拡競争だ。そこに金の塊があるかどうかは分からない」と警告していると言う。

 

この業界においてコンテンツにかける費用が高騰し始めたのは、2013年、NetflixがHBO作成による政治ドラマ「ハウス・オブ・カード」の放映権を得るために1,000万ドルのプレミアムを支払った時にさかのぼるとされている。Netflixは当時、人気のあるコンテンツを取り込むために、伝統的な映画やスタジオ以上の資金を費やしたのである。

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ところが、Netflixによると、人気コンテンツの価格は1年前からさらに33%跳ね上がり、CEOのリード・ヘイスティング氏は「ハウス・オブ・カード」に支払った1,000万ドルはNetflixにとって「掘り出し物」になるだろうと投資家に語ったそうだ。

Netflixは今年、コンテンツに150億ドルを費やす予定で、これにより長期借入金は120億ドル、バランスシートの外の負債として計上される将来の作品のためのコミットメントは200億ドルを超えるようだ。また、ディズニーとHBOマックスも2019年の新作にそれぞれ約110億ドルを費やす計画だと言う。

では、動画ストリーミングの世界は今後どうなっていくのか。残念ながら、こうした支出ペースは持続不可能であり、すべての新しいストリーミングサービスが生き残るわけではなさそうだ。

しかしシリーズを一挙に見たり、常に新しいコンテンツを楽しんだりすることができるストリーミングプラットフォームは視聴者の思考回路を変えたため、ストリーミングがない時代にはもう戻れそうもない。この後、統合の波を経て、市場の騒ぎが落ち着いて、残っていくのは資力のある大手ということになるのだろうか。

多くのプレーヤーが乱立する中で、現時点では、独自の立ち位置を築いているディズニーとアマゾンに注目している。

ディズニーの強みは、他とは競合しないコアなファンを持つコンテンツを持っていることである。ディズニーのブランド力は非常に高く、幼いころからディズニーの作品やキャラクターに触れてきた人はブランドに対して特別な思い入れを持っている。ディズニーの映画や作品は、子どもたちを魅了し続けており、ディズニーのテーマパークは、世界中のファミリー層にとって憧れの場所である。

しかも、ディズニーが提供するコンテンツはいまや子どもやファミリー向けだけにとどまらない。ディズニーはこれまで、ピクサーやルーカスフィルム、マーベル、21世紀フォックスと言った映画制作会社の買収を行ってきた。これにより、スター・ウォーズの続編や、マーベルの人気キャラクターが登場する映画の大ヒットにつながった他、シンプソンズ、X-メンのような人気キャラクターやコンテンツを利用することができる。

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