12月 3日 世界初の心臓移植(1967年)

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

南アフリカ共和国のケープタウンで、外科医クリスチャン・N・バーナード (Christiaan Neethling Barnard、1922~2001)によって、世界初の人間の心臓移植手術が行われ、成功しました。

しかし、元気だった患者は、拒絶反応を防ぐための薬物療法の行き過ぎで肺炎を起こし、18日後の12月21日に死亡しました。翌年には、2回目の心臓移植手術を実施し、術後19ヵ月間(593日)の生存に成功しました。

【写真】世界最初の心臓移植手術の様子
  1回目の手術後、12月14日に公開された手術室の様子 photo by gettyimages

翌1968年には、スタフォード大学のノーマン・E・シャムウェイ (Norman Edward Shumway、1923-2006)による世界第4例目をはじめとして、堰を切ったように世界中の医療機関で心臓移植が行われ、その数はほぼ100例に達したということです。

【写真】心臓移植のパイオニア
  C・N・バーナード(左)と、N・E・シャムウェイ photo by gettyimages

ちなみに日本で の心臓移植1例目もその1つです。世界で30例目、患者は術後83日間生存しました。バーナードと共に研究したこともある、和田寿郎の施術でしたが、患者の死後、脳死判定や移植適応に関する疑義が指摘され、殺人罪で告発される事態にまでなりました。

 関連の日:8月 8日 日本初の心臓移植手術(1968年)

これらの手術をきっかけに、世界各国で 臓器提供者の死の基準や脳死の問題が議論され、1981年に米国で、1983年にイギリスで、脳死の判定基準が認められ、脳死下の臓器提供が合法化されました。

ですが、当時は免疫抑制療法がまだ十分に開発されておらず、手術成績は期待されたものとはほど遠かったために、ほとんどの施設が心臓移植を中断していきました。1980年代以降、天然の真菌が産生する抗生物質を使った免疫抑制剤のシクロスポリン(サイクロスポリン、Ciclosporin)の登場や心筋保護法の進歩により成績は著しく向上し、特に末期心不全患者の外科治療として定着していきます。

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