覚醒剤で破滅した「中卒政治家」元葉山町議の後悔と「再生への道」

「寝たら全て忘れる」恐怖に駆られ…
佐藤 光展 プロフィール

家族は彼を見捨てなかった

細川さんは、病院でのカウンセリング中心の治療と、リハビリ施設ダルクでのグループミーティングなどで覚醒剤依存の克服を目指してきた。現在は、受刑者の更生支援などを行う横浜のNPO法人Hatchで活動し、出所後の再犯防止を支援する施設づくりを目標としている。この活動に取り組むきっかけは、留置所での容疑者たちとの出会いだった。

「少なからぬ受刑者が、犯罪組織の手先として使われたり、ちょっとした思い込みで犯罪を繰り返したりしてしまう。出所しても同じ軽犯罪を重ねて刑期がどんどん長くなる。適切な支援があれば負の連鎖を止められるのに、孤立して同じことを繰り返してしまうんです。日本では遅れているこの分野の支援を、ぜひ充実させたい」

罪を犯した人たちの支援活動について語る細川慎一さん(2019年10月24日、横浜市内)
 

細川さんの名前を検索すると、出てくるのは今もデマだらけの報道だ。野次馬レベルで書き飛ばされた過去記事が、足を引っ張り続ける。それでも、綺麗事ではなく本心から「今が一番幸せ」と感じている。家族のおかげだ。

多大な迷惑をかけた妻と息子は、馬鹿な夫、馬鹿な父を、見捨てなかった。妻は最近、こう明かした。「別れるという選択肢は浮かばなかった。でも町議の時のままだったら、覚醒剤を使っていなくても別れていた」。

細川さんは振り返る。「あの頃は仕事に没頭するあまり、家の中まで常にピリピリさせてしまっていた。憧れていた政治家になれて、『俺は偉いんだ』と家族に対しても天狗になっていたんです。愚かでした」。

家族の支えで以前よりも強くなった細川さんは、罪を犯した人にも立ち直りのチャンスを与える成熟した社会の実現に向けて、歩み始めている。それは、細川さん自身の再生に向けたチャレンジでもある。