覚醒剤で破滅した「中卒政治家」元葉山町議の後悔と「再生への道」

「寝たら全て忘れる」恐怖に駆られ…
佐藤 光展 プロフィール

細川さんが逮捕時、覚醒剤と注射器を「警察がポケットに入れた」と言い張って抵抗したと報じたマスコミもある。これが事実ならば、細川さんは稚拙な嘘をつくような姑息で、浅はかで、信用できない人物という印象が強まる。

だが、このセリフは裁判記録にも残っていない。細川さんは「所持品を調べられた警察車両の中で、罪を逃れたいという気持ちは正直、ありました。でも私のポケットから覚醒剤が出てきて現行犯逮捕されているのに、そんなことは言いません」と否定する。

元プロ野球選手の清原和博さんが、この年の2月2日に逮捕されたばかりで、覚醒剤への社会の関心が高まっていた。神奈川県警にとって細川さんは、絶妙のタイミングで飛び込んで来たカモだったのだ。

覚醒剤の常用に加え、ろくでもない素行と性格の町議だったと世間に印象づけるほうが、逮捕の社会的評価は高まる。そんな思惑も働いて、細川さんの言葉を脚色して記者に伝えたのではないか。マスコミは面白がってそのまま伝えてくれるのだから、楽なものだ。

 

所持していた「量」の食い違い

おかしな点はまだある。細川さんが逮捕時に所持していた覚醒剤の末端価格は、約4万5000円相当と報じられた。だが、細川さんが売人に渡していたのは毎回1万円で、逮捕された日も同様で、他に覚醒剤は所持していなかった。

1万円と4万5000円では、記事を読んだ時の印象がだいぶ異なる。さらに、所持していた覚醒剤は当初、0.65グラムと報じられたが、判決時の報道では0.377グラムと約半分に減っていた。このようなズレが生じた理由をマスコミは説明せず、逮捕時のセンセーショナルな数字ばかりがインターネット上に残っている。

逮捕後、約1か月で保釈された細川さんは、2016年7月末に失職した。