覚醒剤で破滅した「中卒政治家」元葉山町議の後悔と「再生への道」

「寝たら全て忘れる」恐怖に駆られ…
佐藤 光展 プロフィール

初登庁を果たすや否や、キレものぶりを発揮した。地域手当の削減では町議会の拙速な対応を問題視し、一時は条例改正に反対したこともあったが、長いものに巻かれず、筋を通そうとする姿が町民に支持された。その一方で、町議同士の懇親会などは欠席を繰り返した。

「仲間内でナアナアの関係を築くことに時間を使うよりも、町民のためにやるべき事があるだろうと思っていました。かなり尖っていましたね」。こうした態度を不快に思う人も少なくなかった。それが逮捕後のデマにつながった。

町政改革に没頭した。だが、周囲の期待が高まれば高まるほど、心の平静を失っていった。遊びたい盛りの息子を「税金で仕事をしているのだから、休む暇はない」と言って突き放した。功を焦り、睡眠時間を削って仕事にのめり込んだ。しだいに強迫的な思いが強まっていった。

「眠ったら、今まで覚えた知識が全て消えてしまうんじゃないか。言い知れぬ恐怖に駆られるようになりました」

 

「仕事のため」に手を染めた

当選から半年後の2015年10月、細川さんは覚醒剤に手を染めた。慢性的な睡眠不足で身も心も悲鳴を上げていたのに、覚醒剤を使ってでも働き続けたかったのだ。以後、車を運転して週に一度の割合で横浜に行き、覚醒剤を入手するようになった。

売人の連絡先は、4年前にバイト先の同僚に教えられて知っていた。勝てると思った県議選に落選して酷く落ち込んでいた時期で、一度だけ購入した。だが、薬物による一時的な酔いなど何の役にも立たず、金にも困っていたのですぐに縁を切った。

念願の当選後に覚醒剤を常用するようになったのは、現実から逃げるためではなく、むしろ「仕事のため」だった。たとえ薬物に頼ろうが、結果さえ出せば町民も喜んでくれると勘違いしていた。もちろん、そんな理屈は通用しない。覚醒剤依存の先には奈落しかない。