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巨大台風襲来の1年…災害伝承は大水害を「予告」していたのか

伝承や祭礼が今に訴えること

暴風雨と氾濫が頻発した2019年の秋

日本列島は今年の8月末以降、大雨と強風の度重なる襲来に苦しめられた。

8月27日から九州北部で猛烈な雨が降り、河川の氾濫で市街地が冠水した。9月9日には台風15号が千葉市付近に上陸、強風による屋根被害など、家屋の損壊は5万棟を超えた。

10月12日には台風19号が伊豆半島に上陸し、各地に豪雨を降らせて、70を超える河川が決壊。さらに10月24日から26日にかけても大雨となり、再び河川が決壊した。

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今秋の台風と豪雨による災害は被害が広範囲であること、また立て続けに起こり、同じ地域に繰り返し被害をもたらしたことなどにより人々に衝撃を与えたのである。

これまでの台風は、上陸後に勢力が衰えたものだが、海水温度の上昇の影響からか、台風は規模を変えずに、襲来することが多くなったように感じられる。気象庁が発する予報においても、「数十年に一度」どころか、「これまで経験したことのないような」という形容が用いられるようになったのである。

電柱をなぎ倒し、瓦を吹き飛ばす暴風、豪雨が過ぎたあとの晴れ間に起こる河川の氾濫、床上浸水で泥水に覆われた住宅地など、ニュースでたびたび映し出される光景は、たしかにあまり見慣れたものではなかったような気がする。

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さらには、「流域型洪水」という新しい災害用語が使われるようになった。気候変動や異常気象が叫ばれ、日本列島を襲う暴風雨災害はフェーズが変わったともいわれる。しかし、こうした大水害は、本当にこれまでなかったことなのだろうか。過去にも発生し、その経験と記憶が継承されてきてはいないか。

そこでここでは、民間伝承や民間信仰の領域のなかに、暴風雨災害にかかわる伝承を探ってみたいと思う。