実家に暮らす母の姉に頼る

とにかくいったん家に帰って病院を調べることにした。ただ、こんな状態の母をいつまでも1人にするのは危険だ。

長姉の惠子伯母に母を預けよう、と思いついた。惠子は、祖母と長兄を見送った後も実家に残って一人暮らしをしている。自治会の役員を長年務める、多趣味の元気なおばちゃんとして、町内で知らない者はいない。

花火の後、伯母に電話をかけて登志子を預けたい旨を伝えると、彼女はいつもどおりハキハキと、明るい声を出した。

電話口にでた伯母はハキハキ明るい声で、声だけでも救われた Photo by iSotck

「いいわよ! おばちゃんも1人で寂しいから、ちょうどいいわ。部屋を片付けて、そのまま来られるようにしておくわね」

これで母をみる人が確保できた。と、そのときは胸をなでおろした。

-AD-

「荷物を入れられる場所がありません」

数日後、母を伯母のもとに連れて行った。さすがに身一つ、というわけにもいかないので、しばらく暮らせるだけの衣類など、運送屋に頼んで運んでもらっていた。タクシーが実家の入り口に止まると、運送屋のお兄ちゃんがトラックから降り、困り顔で立っている。

「伯母、留守にしちゃってますか?」
「いや、そうじゃなくて、荷物が入れられないんです
「え?」

そんなはずはない。玄関を入ってすぐのところに置けるのに。慌てて玄関に向かう。引き戸を開け、伯母に声をかけようとして、言葉を失った。
物を置くスペースが、まったくない。上り口からすぐは四畳半の部屋なのに、そこがあらゆる荷物でふさがっている

「おばちゃん、どうなっちゃってるの?」

奥から出てきた惠子は、数日前の会話を忘れたのか、妙な表情で私を見つめ返してきたのだった。

【次回は12月10日(火)公開予定です】