韓国からいよいよ資金が流出…急激な「ウォン安」のウラで起きたこと
見切りをつける海外投資家もいる10月初旬以降、韓国ウォンの下落が目立つ。
10月末から11月中旬まで、ウォンはドルに対して約1.2%売られた。
中国経済の先行き懸念などから東南アジア新興国を中心に、アジア通貨は不安定に推移しているが、その中でもウォンの下落率は大きい。
ウォンの下落は、海外投資家などが韓国経済を見切り、ウォンを売って韓国から海外に資金が移り始めているとの見方もある。
ウォン下落の背景には、まず韓国の景気が減速していることがある。
また、経済の先行きも見通しづらい。
特に大手企業の業績悪化は深刻であり、先行きは「大丈夫か」と思ってしまう。
その上、安全保障や経済運営など、文政権の政策にも不安な部分がある。
そうした要素がウォンの為替レートに影響していることは間違いないだろう。

韓国景気の減速を受けたウォン安
年初来、アジアの主要通貨の中でウォン安が鮮明となっている。
最大の要因は、韓国経済が減速していることだ。
韓国にとって最大の輸出先である中国経済は、成長の限界を迎えた。
それを受け、外需関連を中心に韓国企業の業績は急速かつ大幅に悪化している。
一部の大手格付け業者は、韓国企業の財務内容悪化にも警鐘を鳴らし始めた。
秋口以降、米中の通商協議が進展し、“休戦協定”が締結されるとの見方からウォンがドルに対して反発する局面も見られた。
ただ、11月に入り、再度、ウォン売りが増えている。

その背景の一つとして、韓国の輸出が減少トレンドとなっていることは見逃せない。
昨年12月から11カ月続けて輸出は前年同月の実績を下回っている。
更に、11月1~20日までの間も、輸出は減少している。
特に、半導体の輸出は前年の同期間に比べ24%程度減少している。
韓国にとって、半導体は最大の輸出品目であり、経済へのマグニチュードは非常に大きい。
中国の固定資産投資や生産活動が鈍化し続けていることを踏まえると、短期間で韓国の輸出が反転する展開は期待しづらい。
そうした中、世界的な5G通信の普及期待に支えられ、サムスン電子の半導体事業には底打ちの兆しが出つつあるようだ。
しかし、それ以外の企業を見ると、更に業績が低迷するリスクがある。
SKハイニックスではメモリ在庫解消に時間がかかっている。
LGディスプレイ経営陣からは、危機的状況を迎えつつあるとの見解が表明されている。