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皇室外交も後押し!来日したフランシスコ教皇が日本に訴えたい事

キーマン大塚喜直司教に聞いた

教皇の「いのちを守るメッセージ」は日本で提言した

フランシスコ教皇は、長崎と広島で「核廃絶」へのメッセージを出した。「原子力の戦争利用は犯罪」と語るその口調は静かだったが、平和へ強い意志を感じた(メッセージの一部は後述)。

ローマ・バチカン市国の荘厳なサン・ピエトロ寺院をあとにして、教皇フランシスコが日本にやって来ている。教皇フランシスコは世界のカトリック教会の最高司教であり、20世紀にイタリアから独立した都市国家バチカン市国の元首でもある。

11月23日から26日までの4日間、長崎、広島、東京とめぐる今回の訪日のテーマは、「すべてのいのちを守るため~PROTECT ALL LIFE」である。
なぜ、この言葉なのか。その背景にあるものは何なのか。

訪日スケジュールのまとめ役を担った京都教区のパウロ大塚喜直司教に、教皇フランシスコが世界に向けて何を発信し続けているのかを、その人物像と絡めて語っていただいた。大塚喜直司教は、今回の教皇来日を仕切るキーマンの一人と言われている。
 

 

人間や動物を含むあらゆる創造物を愛する

アルゼンチン・ブエノスアイレス大司教のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ。彼は2013年3月、コンクラーベ(教皇選挙)において第266代教皇に選出され、教皇フランシスコと呼ばれるようになる。76歳だった。

大塚喜直司教は、訪日の舞台裏を語る。

「教皇に選出されて以来、私たち司教は『ぜひ日本にお越しください』とお願いしてきましたし、秋篠宮さまをはじめ、安倍晋三総理や外務大臣がバチカンに行ったときには『必ず来てください』とお伝え続けてきました。38年前に教皇ヨハネ・パウロ2世が来日した際には、政府はまったく関与していません。でも、今回は日本政府がお招きした形になっています。ですから、前回も天皇陛下ともご会見や首相との会談もありましたが、今回は意味合いがまったく違うのです」

昭和天皇と握手するヨハネ・パウロ2世(提供=カトリック中央協議会)

とはいっても、皇室外交とは無縁ではない。

11月25日には、天皇陛下と面会する。

天皇陛下はロンドンに留学時代にバチカンを訪れている。その際の教皇は、ヨハネ・パウロ2世だった。1993年には上皇陛下と美智子さまがバチカンを訪問、2016年には秋篠宮ご夫妻が同じくバチカンを訪れている。振り返れば、昭和天皇も皇太子時代にバチカンに出向いており、皇室とのゆかりは深いのだ。

なぜこの時期になったかというと、天皇陛下の一連の即位の礼の儀式が終了する日程だったという関係者もいる。フランシスコ教皇と天皇陛下が面会できるスケジュールが、この時期だったというのだ。

大塚喜直司教が続ける。

「今回の教皇来日のテーマは、『すべてのいのちを守るため~PRPTECT ALL LIFE』です。実は、来日のテーマは日本の方で案を作るのです。日本の司教たちが集まって、今の日本社会や日本の教会の現状を鑑みて、『いのち』をテーマにしよう、ということになったのです」

『すべてのいのちを守る』というフレーズそのものは、教皇フランシスコが2015年に発表された『回勅 ラウダ―ト・シ――ともに暮らす家を大切に』から引いています。『ラウダ―ト・シ』はイタリア語で、司牧的(一般の人を導く)回勅の環境問題に触れたものです。ちょっと分厚い本になっています」

回勅とは、ローマ教皇から全世界のカトリック教会の司教や信者へあてて出される公文書で、教皇が出す中でもっとも重要な教書である。ローマ教皇の考えを示すものとして知られる。