学校で保護者にむけてその学校の教育活動について回答してほしいとアンケートが配布されることがある。ある意味で「顧客満足度調査」と同じもので、多くは記名式でマークシートに記入するものだ。ただし、受験に向けた内申点に影響しないかと心配になったり、クレーマーと思われるのも気がひけると、不満があってもなかなか本音が書けないことか少なくない。

そんな「顧客満足度調査」ならぬ「児童満足度調査」を公立小学校で子どもにむけて実施した人がいる。今年の3月まで公立小学校の教師をつとめていた森田太郎さんだ。「タロー先生に担任を持ってもらうと子どもたちが俄然やる気になる」と評判にもなった先生だが、その裏には、「自分の授業は本当に子どもたちにとって面白いのか」と正面から向き合う姿勢があった。

顧客を無視したサービスは、見向きもされなくなり、最後にはお店は潰れる。それが、民間企業。では、「公立学校」という組織の場合はどうだろうか。現在、探究学舎で人気の講師として勤務している森田太郎さんの実体験を綴ってもらった。

授業中にこんな笑顔になれる授業とは?(写真の人物は本文と関係ありません) Photo by iSotck

森田太郎さんの今までの連載はこちら

子どもたちの本音を知りたい

「今日の授業はつまらない」「最近の授業はおもしろくない」

教員生活が長くなってくると、子どもたちの本音がわかるようになります。
なぜなら、子どもは正直で、楽しいものに意識が引っ張られるので、授業に魅力がないと、生き生きした目にならないからです。子どもにとって楽しい授業、魅力ある授業であれば、45分の授業はあっという間に過ぎてしまう。授業が終わっても子供達の熱気が教室に残っています。

この教師の感覚はとても大切であり、常に意識しておくべきことだと思います。そして、もう一つ大切だと思うことは、声なき本音を声にすることだと思っています。

とはいえ、子どもたちにとって「授業がつまらない」と本音を教師に伝えるにはハードルが高い。したがって、子どもたちの本音が伝えられる環境づくりが必要です。

木枯一号が吹き抜けて、もうすぐ12月。学期末に向けて、先生たちは成績処理、いわゆる通知表の作成のため忙しい時期に入ります。教員時代はこの時期、同時並行であるものをつくっていました。

「先生通知表」です。

ぼくはこの「先生通知表」を、品川区の小学校のときから導入しました。
赴任先は3校目。教員生活9年目に入り、教師として自信が生まれていたころです。担任する3年生のクラスは笑顔が絶えないし、授業も活気がある。それらは肌感覚でわかるのですが、深く考えずに突っ走ってもいいのか、と疑問がわきました。楽しんでいる子がいれば、そうじゃない子もいることは少なからず気づいていたからです。

今日の授業どうだった?
「え~、どうだろう、あ、まあ、楽しかったです」
何人かに尋ねたりしましたが、まだ何でも言い合える関係が築けていなかったのか、なかなか本音の意見は聞けませんでした。