検索ワードのビッグデータで発覚!シフォンケーキの「失敗ポイント」

ヤフー「ビッグデータ探偵団」が語る①
池宮 伸次 プロフィール

では、どうすればよいか? それを解決するために、データの上層(検索数が多いところ)ではなく下層(検索数が少ないところ)に注目します。

このグラフで、細かなデータが大量に集まっている水色で塗られたエリアがポイントです。

一般的に「ロングテール部分」と呼ばれている部分ですが、ひとつひとつの検索数が小さいうえ、数も膨大にあるため、分析が難しい部分でした。この下層部分から、「シフォンケーキの失敗」を表していると考えられる言葉、またはそれに類するキーワード群のみをうまく抽出する手法を用いて、特徴キーワードを抜き出します。

その後、「共起ネットワーク」と呼ばれる手法によって、可視化を行います。すると次のように、シフォンケーキの失敗に関する言葉のネットワークが生成されます。

【図】シフォンケーキの失敗関連の共起ネットワーク

資料:Yahoo!検索データ 使用ツール:「KH Coder」を利用

このネットワークを見てみると、シフォンケーキの失敗ポイントがたくさん存在することがわかります。特に多いのが、「膨らまない」「しぼむ」「へこむ」「割れない」「生焼け」「固い」など、焼き上がりに関する失敗のようです。シフォンケーキ作りに苦戦したことのある方なら、この図のキーワードを見つけて、「わかる!」と納得してしまうのではないでしょうか。

検索データは「ユーザーの声」の宝庫

しかし、私がこの分析を行ったのは、なにもシフォンケーキの作り方をマスターするためではありません。

ここで、冒頭の話に戻りましょう。この分析からお伝えしたかったこと——それは、ネット上の検索キーワードのビッグデータをうまく分析することによって、ある事象についての人々の「疑問」や「悩み」「困っていること」を明らかにできる、ということです。

この手法、まさにユーザーニーズの把握をするために最適だと思いませんか? 

たとえば、あなたが家電製品のメーカーで、「冷蔵庫」の開発を担当していると想像してみてください。新製品を作るためには、既存の製品を使っているユーザーの要望や不満を把握し、それらを改善につなげていきたい。

そんなとき、この検索データを分析すれば、洗濯機を使っているときに生じた不具合や遭遇するハプニングを抽出することができます(「洗濯機 ボタン 反応しない」「洗濯機 エラー 点滅」などなど、検索したことがある人もいるのではないでしょうか)。

つまり、検索キーワードから、「ユーザーの声」を浮かび上がらせることができるのです。