このシワには、紙をふんわりとさせたり、吸収したものをシワの間に閉じ込めて逃しにくくし、拭き取りやすくしたりする役割があります。
──もうひとつの大きな特徴である「毛羽立ちにくさ」は、どうやって実現しているのですか?
くわしくはお伝えできないのですが、基本的には素材の特性を利用しています。紙が木でできていることはみなさんご存じかと思いますが、木のなかでも、広葉樹由来の繊維は比較的短いのに対して、針葉樹由来の繊維は、長く、発塵しにくい特長があります。
一般的なティッシュペーパーなどのやわらかい紙には広葉樹の繊維が使われることが多く、キムワイプの場合は針葉樹の繊維を多めに使うことで、発塵しにくい紙となっています。
──ちなみに、あの絶妙なサイズ感になったのはどうしてなのでしょうか?
定番サイズの「S-200」のことですね。これは、実験室で作業の邪魔にならずコンパクトにお使いいただけるように立方体に近いパッケージになっています。

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他にもティッシュほどの大きさの「M-150」や、さらに大きな「L-100」、小さめの「S-200 mini」など、サイズのバリエーションがあります。
広い範囲を拭きたいときや、実験器具の水切りとして敷きたいときは「M-150」や「L-100」、細かい部分をちょっとだけ拭きたいというときには「S-200 mini」というように、用途に応じて使い分けていただけるようになっていますが、やはり一番人気はずっと「S-200」ですね。
──ホームページを見たら、「キムワイプ S-250 リントガード」という製品もラインアップに加わっているのを目にしました。これはどんな違いがあるのでしょうか?
「キムワイプ S-250 リントガード」は、リント(=塵)の発生を防ぐことに特化した製品です。通常のキムワイプと紙質が違っていて、ザラザラ感がありません。
キムワイプを愛用されている方は、おそらくこれを触っても「キムワイプじゃない」とおっしゃるのではないかと思います(笑)。
──日本でも使われるようになって昨年で50周年を迎えたキムワイプですが、テクノロジーの変化などに伴い、何か進化を遂げているポイントはあったりするのでしょうか?
中身のシートに関しては、50年間変わっていません。
というのも、何かが変わると実験の結果に影響が出てしまう可能性がゼロではないため、紙の品質については「変わらない」ということが価値になっている面もあるからです。
ですが、使いやすさの面では2017年にいくつかリニューアルしました。