小泉進次郎「無内容発言」が妙に「説得力」を持つのはなぜなのか…?

有権者が「説得力」を感じる条件
三浦 麻子 プロフィール

そのため、説得に関する社会心理学研究には長年にわたり多くの蓄積がある。アメリカの社会心理学者ロバート・チャルディーニたちの研究グループによる『影響力の武器』シリーズ(誠信書房刊)は一般にもよく知られている。

誰かから説得を受けた時の人間の認知プロセスに関する社会心理学研究は、「なぜ私たちは、発言の迫力に押されて、よくわからない言説に納得させられてしまうのだろうか」という疑問に一定の解を与えてくれる。

〔PHOTO〕iStock
 

「ヒューリスティック-システマティックモデル」

説得に関する社会心理学研究では、「どういう要因が説得の効果を高めるのか?」「人はどのように説得を受容しているのか?」を説明する理論モデルがいくつか提案されている。ここではそのうちの1つ「ヒューリスティック­システマティックモデル(HSM)」についてごく簡単に紹介しよう。

あなたが友人の家で開催される夕食会にワインを1本買って行こうと思い、ワインショップに入った場面を想像してほしい。しかも、出かけるのが少し遅れてしまい、5分ほどしか時間がない状況だとしよう。本来ならずらりと並ぶ様々な種類のワインから好みのものを見つくろいたいところだが、無理そうだ。

となれば、店員に「あなたのお勧めは何?」と聞いて勧められたものを、あまり深く考えずに「お勧めなんだから悪くはないだろう」と判断して買うのではないだろうか。あるいは、その夕食会にはあまり気乗りがしておらず、「とびっきりのワイン」を選ぶほどの意欲がないときや、そもそもワインにあまり興味がないときなども、おそらく店員のお勧めに従うだろう。

これが「ヒューリスティック処理」である。

関連記事