小泉進次郎「無内容発言」が妙に「説得力」を持つのはなぜなのか…?

有権者が「説得力」を感じる条件
三浦 麻子 プロフィール

「中身がなくても、そうだそうだという気がする」

筆者が「そうだそうだという気がするが、よく考えてみるとよくわからない」言説に直に触れたのは、2019年4月の大阪府知事・市長ダブル選の時だった。

ある新聞社の取材への協力のために、投票日前日の夕方に繁華街で行われた演説を、維新陣営と反維新陣営とで聞き比べたのである。

筆者が受けた印象を伝えるのには、当日のツイートをご覧いただくのがもっともわかりやすいのだが、一言で表現すれば「勝負にならない。維新の圧勝だ」という強い印象を受けた。維新のことをあまり好ましく思えない(かといって、他に強く支持する政党があるわけでもない)筆者でもそうだったのである。

大阪W選を戦った吉村洋文・大阪市長と松井一郎・大阪府知事〔PHOTO〕Gettyimages

冷静に演説内容のファクトチェックをすれば、相手陣営批判を意図するがために誇大だったり不正確だったりする点が多くあるのだが、それを凌駕する勢いで「ぐいぐい来る」言説の力に抗うことは難しい。そう実感した体験だった。

 

説得に関する社会心理学研究

政治家による有権者への働きかけのように、誰かが何かを決めよう(誰かに何かを決めさせよう)とする場面で、決める主体の考えや行動を自分がそうしたい方向に導こう、あわよくば変えてしまおう、という意図をもったコミュニケーションのことを説得という。説得が首尾良く成功して、納得となる。

人と人とのコミュニケーションにおいて、誰かを説得したり、誰かに説得されたりする場面は多々ある。どうすれば人の態度を自分の意図する方向に導くことができるのかは、なかなかうまくいかないだけに多くの人が興味をもつトピックだ。

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