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なぜ『盗り鉄』は減らないのか?鉄道会社が直面する「不都合な現実」

曖昧すぎる鉄道古物売買の闇
杉山 淳一 プロフィール

「正規流通ルート」の必要性

筆者の手元に某鉄道会社の制帽がある。ある鉄道ゲームのイベントで着用するために、鉄道中古品店を巡って手に入れた。裏返すと名札が縫い付けてあり、名前の文字がひっかき傷で消されている。これがどのような経緯で店頭に置かれたか、その経緯は不明だ。鉄道会社が廃棄処分し、廃棄業者が誰かに譲渡したというなら違法性はない。

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しかし、会社から貸与されていたはずの帽子を、使用者が退職時に返却しなかったとすれば「横領」だ。それでは、使用者の死後、家族が遺品整理で見つけて古物商に売り渡したらどうか。横領した人物は他界。家族は貸与とは知らない善意の第三者。いまのところ、店が違法性はないと認識して仕入れ、販売した物であれば、違法性はないと認識して購入した私も違法ではないはずだ。

もっとも、会社のマークが入った帽子を悪用すれば、だれでも社員に変装できる。こんな形で会社が処分するだろうかという疑問もある。が、真実は解らない。

 

現在の鉄道古物市場は、違法性のない物品と、不法行為を介した物品の区別が付かない。これが鉄道部品盗難の温床だ。解決策はもちろん犯罪者の逮捕と厳罰である。はっきりこれは犯罪だと認知させること。もっとも、犯罪者は後先を考えずに不道徳をいたすから犯罪者になるのであって、理屈では抑制できない。

筆者から提案できる対策は、この際、鉄道会社、鉄道用品を扱う古物商が連携し、鉄道古物の正規流通ルートを完成させることだ。鉄道会社は廃棄計画と廃棄品の目録を作り、古物商や収集家が希望の品を買い取る。この時に、正規流通品を示すシールを貼る。その後、古物商はそのシールのない商品の引き受けを断る。個人的な収集のために盗む行為までは封じられないけれど、これで「盗んで売る」という行為に歯止めをかけられる。