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なぜ『盗り鉄』は減らないのか?鉄道会社が直面する「不都合な現実」

曖昧すぎる鉄道古物売買の闇
杉山 淳一 プロフィール

アニメや映画が好きなら、ディスクメディアで映像作品そのものを購入できる。関連グッズもたくさんある。ゲームもファンに向けたビジネスだから、ゲームを購入するとか、キャラクター関連商品を購入できる。つまり、もともとファンに向けて商売をしており、好きになった対象をファンが購入できる。

しかし、鉄道施設が備えもつ物品は「公式グッズ」ではない。他の分野は、趣味の対象を商品として入手できる。しかし鉄道は買えない。でも欲しい。その思いが強くなると、「鉄道(の一部)を盗む」という行動になるのではないか。あるいは、欲しがる人がいるなら盗み出して売りつけて儲けよう、という行為につながる。

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インターネットオークションが盗品売買に拍車をかけたことも否定できない。鉄道古物の主な流通先が鉄道古物店(古物商)だったころは、店が身元を確認して鉄道古物を引き取り、盗品か否かを目利きしたうえで盗品の流通に歯止めをかけていた。

しかし、インターネットオークションなどで個人間売買になると、オークションサイトが介入しない限り歯止めがきかない。オークションサイトは出品者と購入者が責任を負うという条件でシステムを提供しているから、取引には原則として介入しない。

 

転機となった「鉄道フェスティバル」

鉄道古物の正式な流通ルートはない。合法的なルートとしてはゴミ拾い。つまり、いったん廃棄し、解体業者や金属回収業者に引き渡されたモノの中から、鉄道の形を留めるモノが流出し、収集家の目にとまる。この過程で違法性はない。鉄道会社としては、鉄くずとしてトンあたりの価格で売却して処分済み。解体業者や金属回収業者は、どうせ溶かして売る金属のうち、ちょっとくらい誰かに進呈したところで、商売に差し障りは無い。

もっとも、処分すると約束しておきながら、原型を留めた物を流出させるという行為はモラルを問われる。しかし、その話はちょっと脇に置いておこう。なにしろ、限られた人々だけの小さな世界だった頃は、大目に見られたことだった。